浴衣やカジュアル着物を着るときに必見!半幅帯をビシッと締めよう
着物や浴衣を楽しみたい!だけど、帯結びが分からない。お太鼓結びは大変そう。そんな時は、まずはカジュアルに半幅帯から着物を始めてはいかがでしょう。
半幅帯で気軽にかわいい帯結びを楽しみたい方から、よく「結び目が緩んで落ちてくる」「そもそも上手な巻き方が分からない」「三角に折るってどうするの?」といったお問い合わせをいただきます。
そこで今回は、基本中の基本、半幅帯がしっかりと締められる巻き方をご紹介。
巻いて結ぶところだけを詳細にご説明します!
半幅帯が上手に結べない原因とポイント
まず、帯が下がってしまう原因としては下記の内容が考えられます。
- 体型
腰の後ろ、おしりの上がくぼんでいると、くびれに沿って帯が落ちやすくなります。その場合は、ヒップパッドなどで補正をすると帯が支えられます。 - 材質、織り方
化繊の平たい単帯などは滑って締めにくく、くにゃくにゃと崩れてきやすいものがあります。もちろん化繊と一口にいっても、締め心地は品質や織り方によります。
天然素材は人の体温や湿気を吸って伸縮するため、しっかりと締まり体になじみやすい傾向があります。正絹の博多織などはやや固さがあるものの、帯自体に張りがあり形が崩れにくいです。 - 巻き方
半幅帯にも、しっかりときれいに巻ける着付け方があります。それができていないと、ズルズルと崩れてしまいやすくなります。
このうち、1,2は人によって好みや感じ方が異なりますので、ご自身に合った方法や素材を探していただければと思います。ここからは、3の巻き方について、詳しくしっかりとご説明します。
うまくいかない原因の1つ・巻き方をチェック
半幅帯の巻き方は、多くの場合、始めに数十センチほど取って半分に折り、胴に巻く部分から広げて体に巻きつけます。この巻く過程がきれいにできているかどうかがポイントです。
先に良くない巻き方の例をご紹介しますので、当てはまっていないかチェックしてみてください。
- きちんと半分に折らず、グシャッとねじって何となく巻き始めます。
- 胴に巻くときに、キチンと引き締めずに巻いています。
ゆるみができており、帯が体から浮いています。 - 2周巻いた後、結ぶ前にきれいに折り上げていません。
絞るように握り込んでいます。 - グシャグシャのまま帯の上線より下の位置で適当に結んでいます。
しわで浮いている分がだんだんとゆるみ、帯が落ちていく原因となります。
ゆるみやすい巻き方の例をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
どれかは当てはまっていませんか?
これらをきちんと改善することで、ゆるみにくいきれいな帯結びができるようになります。
三角折りでゆるみなくきれいに
ゆるまずきれいに帯を巻くときのポイントです。
- てをきちんと2つ折りにし、体に巻き始める位置で三角形になるように折り広げます。
こうすることで、クシャクシャのしわがなくなり、平らにぴったりと体に巻くことができます。 - 結ぶ時は、きれいに折り上げ、帯の上線の位置で結び目が締まっているようにします。
しっかり結べる基本の結び方・結ぶところだけを徹底解説
それでは、さっそく詳しい手順をご紹介します。
必要なものは半幅帯だけ!クリップなどは使わず、手の動きだけできれいにできますので、ぜひやってみてください。
浴衣(着物)を着て、ベルト付き帯板を巻いたところからスタートです。
- 半幅帯の端を持ちます。
- 帯端を2つ折りにします。
- 折ったら片方の手でしっかり持っておきます。
- 折った部分をしっかりと持ったまま、腕を伸ばします。
そして、もう片方の手で帯を2つ折りにしていきます。
この帯を2つ折りにした部分を「て」といいます。 - 体の位置で「て」の長さを測ります。
文庫結びでしたら必要なての長さは50~60cm程度。体格によりますが、腕の長さ分くらいと覚えておくと簡単です。 - 測ったら、測った手の位置を変えないように注意しながら胴に当てます。
帯端の方は肩に預けておきます。 - 帯を持ち変えます。
胴の真ん中の位置で、手を真っ直ぐ伸ばして当てます。 - 片方の手で押さえたら、もう片方の手で垂れ下がっている帯を持ち上げます。
押さえている手の下線に沿って、2つ折りにしていた帯が三角形に広がります。 - 手で三角部分をきれいに広げます
- 三角に折れたら、角を押さえて巻き始めます。
- 一周巻いたら1度しっかりと引き締めます。
引き締めるときですが、10番で折った三角形の角の部分に指をかけて引き締めています。 - 上下しっかりと角に指をかけて引き締めます。
- 上下を引き締めたら、もう1周巻きます。
この時、帯を巻いている方の手が下がったりしないよう、一定の高さで帯を持ってください。 - 2周巻いてしっかり引き締めたら、結ぶ前に帯を折り上げて細くします。
- 胴に巻いた帯を、下から上に折り上げます。
折り上げる方の手を、下から上に斜めに移動させながらスーッと折り上げます。
折り上げたら、帯を持っている方の手でキャッチします。その時、帯が下がったりしないよう手の位置は動かしません。 - 1回折り上げました。平らな斜めの線ができています。
- 始めに折り上げた線の中ほどからもう1度折り上げます。
こうすることで、しっかりと細く折り上げられます。 - 一連の折り上げる動作の時、帯を持つ方の手は高さを保ってください。
折り上げた折り目を掴む時もグラグラと動かさないよう注意です。 - しっかりと折り上げたら、肩に預けていた方を外します。
- 折り上げて細くした部分の上に掛け、ひと結びします。
- 結んだら、しっかり締めます。
結び目がギュッと細く小さく引き締まります。 - 引き締めたら、帯をねじって結び目を縦にします。
- たれ(下に出ている長い方)を結び目のすぐ下で広げます。
こうすることで、引き締めた帯が戻らないようにし、ゆるみを防止します。 - 半幅帯をしっかり結ぶことができました。
- ここから文庫結びやみやこ結びなど、さまざまな帯結びを楽しんでいただければと思います。
以上がきれいに結べる半幅帯の巻き方です。
特別な道具は必要ありませんし、手間も取りません。半分に折って巻き始める過程で、きれいに三角折りができて、しっかりと締められます。
疑問とポイント
て(半分に折る方)のちょうどいい長さが分からない
体を基準に覚えましょう。
半幅帯の結び方は、多くの場合「始めに○cmほど半分に折ります」というところからスタートします。この半分に折る部分を「て」といいますが、始めに取るての長さは帯結びによって異なります。そのため、帯幅を基準に折りたたんで長さを測る方法や、クリップをあちこち留めて長さを一定にする方法が紹介されていることがあります。
ですが、その方法を覚えるのも、結ぶ度にそれを行うのも面倒です。
いちいち測らずにすぐに半分に折って巻き始めたい!そんな方は体を基準に覚えてしまいましょう。
自分の体で覚えてしまえば、常に一定の長さで取ることができます。
文庫結び、みやこ結び、貝の口などで必要なての長さは約50~60cm。
おおむね腕1本分と考えれば簡単です。
レイヤー結びなど、短めで良い結び方は肘くらいまでです。
ご体格によって変動しますので、1度結んでみて、ご自身の体だとどのくらいの位置になるか確認してみてください。
この方法ですと、特別な道具は要らない上に、半分に折る動作の中で長さが測れますので簡単です。何度も結んでいるスタッフは「目をつぶっても結べる」と豪語していました。
帯は下を持って、下線を締めるものじゃないの?
帯がゆるみやすい方は上下しっかりと締めることをおすすめします。
よく帯は「下線をしっかりと締めればよい」と言われます。確かに下をしっかりと締め、上の胸元に余裕を持たせることで、帯が緩まず体も楽に着付けることができます。
ですが、着付けに慣れていない方や帯が落ちてきやすい方は、上下しっかりと締めましょう。上が締まっていないと、結び目の重みで上がたるんでしまいやすいからです。
胸元の締め付けが気になる場合は、結び終わって最後に帯の上を押し広げるように緩めるといいかと思います。
大事な点は、まっすぐ巻き、上下しっかりと締めることです。
体に巻くときに帯を持つ手をグラグラさせないようにし、1巻きごとに三角折りの角に指をかけて引き締めます。
力が弱くてしっかりしまらないの…結ぶ時の構えと力の入れ方のコツ
手で締めるのではなく、腕~体全体の力を使います。
帯をしっかりと引き締めようとしても締まらない。手の力がないから締められない。そんなお悩みを持つ方がいらっしゃいます。実はスタッフもあまり手の力はありません。締めるときの持ち方、構え方を見直せば、手は帯を持つだけで十分です。
多くの場合、うまく締められない方は肘を浮かせて手だけでギュウギュウに引っ張っています。これでは帯を握り込んでいるだけで、引っ張る力が結び目に伝わっていません。
しっかり締めるときの構え方はこうです。
帯を持ったら脇を締め肘を体につけ、手首は自然にまっすぐにします。
上のように構えたら、肘を支点にぐっと腕を開きます。肘を体につけて体ごと帯を引いてください。
結び目が細く固く締まっているのがお分かりになるでしょうか。
体の使い方は写真ではお伝えしにくいのですが、脇を締め、腕全体と体の力を使って締めるようにしてください。
他装の時も同様
ちなみに、これは他の方に着付けをするときも同様です。
手だけでギュウギュウに引っ張るのではなく、脇を締め、肘を支点に体の力を使って引くようにします。
力が弱くて帯がうまく締まらない方は、ぜひ1度、脇を締めたフォームで試してみてください。
動画ご用意中
巻き方を一から丁寧に説明する動画はご用意中です。
2021年6月のきもの掘り出し市インスタライブにて半幅帯の変わり結びレッスンを行いました。
その時の内容が分かりやすいかと思います。
また、きもの町YouTubeチャンネルにて、いろいろな帯結びのご紹介をしています。その中の巻き方をご参考にしていただければと思います。
基本の文庫結びの冒頭が分かりやすいかと思います。
何気なくササッと巻いているように見えますが、キチンと締めるコツが満載です。慣れれば、動画のようにスピーディーにできるようになりますので、ぜひ練習してみてください。
半幅帯のすすめ一覧
半幅帯の巻き方がマスターできたら、いろいろな帯結びにチャレンジしたくなりますね!
きもの町ブログではたくさんの半幅帯結びをご紹介しています。
大人っぽくて体型カバーができる結び方や、周りと差がつくアレンジなどなど。
半幅帯コーデを楽しくするブログ『半幅帯のすすめ』シリーズ、ぜひチェックしてみてくださいね。
結び方一覧
今回ご紹介した基本の巻き方から結べる結び方です。
レイヤー結びから始めて、巻くことに慣れたら文庫結び~割り角出しと、徐々に難度を上げて進めるようになっています。
初歩の初歩・レイヤー結び
今回の巻き方と固結びができればOKの結び方です。
正直、文庫結びも難しかったという方は、こちらから練習するのがおすすめ。帯を巻くことに慣れてから他の結び方にチャレンジしてみてください。
基本の文庫結び
半幅帯の結び方として最もメジャーな結び方かと思います。浴衣や着物に合わせる半幅帯の結び方として、基本の文庫結びはマスターしましょう。
大人女子に人気のみやこ結び
大人の女性、カジュアル着物に合わせるのにぴったりの結び方です。
帯揚げを使う結び方で紹介しています。
角出し風の結び方・割り角出し
お太鼓を作る結び方です。ここまでできれば、もう初心者さんは卒業です。
背中が平らになる結び方
かるた結び
結ばずパタパタと折りたたんで締める結び方です。
このかるた結びだけは、今回ご紹介した基本の巻き方とは違う結び方をします。
貝の口
粋な雰囲気の結び方です。
巻くところまでは基本の巻き方と同じですが、結ぶ時は「たれ」を上にします。
中級者さん向け
華やかなものや、個性的なアレンジ結びもご紹介しています。
いずれもスタートの巻き方は、今回ご紹介した巻き方です。
リボン太鼓
リボンを載せたお太鼓のある結び方です。三重仮紐を使用します。
ネコミミ結び
大人気のネコミミ結びを半幅帯で結べるようアレンジしました。
帯揚げ、帯締めを使用したおしゃれでかわいい結び方です。
恋文結び
リボンの上に結び文が載った帯結びです。
複雑に見えますが、ベースは文庫結びですので、基本がしっかりと結べていればきれいにできますよ。
きもの町の半幅帯
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。