すっきり小粋でかっこいい☆半幅帯の「貝の口」の結び方(背もたれOK)
着物や浴衣を楽しみたい!
だけど、帯結びが分からない。お太鼓結びは大変そう。
そんな時は、まずはカジュアルに半幅帯から着物を始めてはいかがでしょう。
今回は簡単で楽ちんな「貝の口(かいのくち)」をご紹介します!
浴衣にはもちろん、カジュアル着物など軽装に合わせられます。
ペタンコの帯結びなので、座ったり寝転んだりできてとっても楽!
リュックなどを背負うことも可能ですし、背もたれに背中をつけて座れます。
浴衣に結んでお祭りに、近場のお出かけ、カジュアルな着物に合わせて観劇にもおすすめです。
結び方としては、男性の角帯の貝の口結びと同様ですので、男女共通で結べるようになります。
ぜひ覚えていただければと思います。
必要なもの
- 半幅帯
あると便利なもの
- 帯締め
結び方
体に2周巻くところまでは、これまでご紹介した文庫結びなどと同様です。
違うところは、結ぶ時にたれを上にするところ。また、結ぶ前にたれの長さを調整するところも少し難しいかもしれません。
構造としては、2回結ぶだけの結び切りの形ですので複雑ではありません。
順番に説明しますので、まずはやってみましょう。
- 通常の文庫結びと同様に、てを50~60cmほど取り半分に折り体に2周巻きます。帯が長い場合は3周巻きます。
- たれ先を胴の内側に折り込み、長さを調節します 。
帯の余りが長い場合は、胴帯の中に挟み込みます。 - てとたれの長さが同じくらいか、少したれが長めになるようにします。
- たれを上、てを下に重ねます。
- たれを上にしてひと結びします。ギュッと締め上げず、直線的に折るように結びます。
- てを斜め上に折り上げます。
- たれを下ろし、ひと結びします。
- 衿元が崩れないよう、右回りに背中に回します。
- 形を整え完成です。
右向き?左向き?
貝の口のて先が右向きか左向きか異なる場合があります。
これはどちら向きでもOK!巻く方向の違いですので、どちらが間違いということはありません。
右回りで巻くとて先が左肩側に出ます。
反対の左回りだと右側です。
何か着こなしのモデルがあってそれと一緒にしたい場合や、複数名で着るときに同じ向きで揃えたい!という場合は、巻く方向から統一すると同じ向きになります。
結ぶコツとアレンジ
2回絡めて引き締めるだけと、結びの構造としてはシンプルな貝の口。
ただ、シンプルなだけにバランスが難しく、粗が目立ちやすい結び方です。
形よく結ぶポイントと、アレンジをご紹介します。
形よく結ぶには
結び方5番のところで、たれを上に通しひと結びします。
この時、結び目をギュッと締め上げるのではなく、直線的に折るように結んでください。
次に7番のてを斜め上に折り上げるときも同様です。
引き絞ってぐちゃぐちゃになった状態で折り上げるのではなく、平らに広げます。
ゆるまないようにと力を入れ過ぎてグシャグシャに締め上げるのではなく、パキッと平らに折り、ぴったりと体に沿わせるように引き締めます。
バランスの調節
形のバランスの良さも大切です。
結び方2番でてとたれの長さを調節しますが、慣れないうちはちょうど良い長さが分からないかと思います。
結び終わると、思ったよりてが長すぎたり、たれが長すぎたりしてバランスが悪くなっていることも。
これは少しくらいなら折り込んで調節すればOKです。
長い分を内側(体側)に折り込みます。
たれの中に差し込むと固定されます。
手が長い場合も同様です。
羽の角がたれから数センチ出る程度にすると、キリッと格好よく仕上がります。
解け防止とアレンジ
直線的な結び方ですので、帯の素材感によってはスルッと解けやすい結び方でもあります。
そんな時は、最後にて先を広げると抜け落ち防止になります。
広げた部分が引っかかって解けにくくなる上に、かわいらしい雰囲気にもなり、おすすめです。
さらに帯締めを通すとしっかりと固定できて安心です。
帯締めを通す位置は、たれの中です。
たれ先の羽は胴部分と一緒に帯締めで押さえられる形となります。
貝の口と違う?「吉弥結び」と「矢の字結び」(2023.12.08追記)
ここまでご紹介した貝の口と似たような形で、たれ先が下に出ている結び方があります。
吉弥(きちや)結びや矢の字(やのじ)といった名称ですが、これらは一結び目または二結び目の結び方に違いがあります。
それぞれご説明しますので、たれ先がある結び方が好みの方は、ぜひ覚えてみてください。
※貝の口、吉弥、矢の字の結び方や形、名称の使い分けは、時代や人によって異なります。この結び切りの形をすべて「矢の字」という場合もありますし、同じ「矢の字」という名前でも違う形の帯結びを指すこともあります。また、ここでの矢の字の結び方を吉弥と称している本などもあり、区別の仕方は様々です。
ここでの分け方ははあくまで一例としてご理解ください。
吉弥(きちや)結びの結び方
基本的に貝の口と同じ形ですが、下にたれ先の角が出ています。
左右非対称の斜めのたれが格好良く、スタッフが個人的に一番気に入っている結び方でもあります。
- て先を半分に折り、体に2周巻きます。
たれを折り込んで長さを調整するときに、たれがてよりやや長いくらいがちょうど良いです。 - 貝の口と同時に、たれを上に重ね、ひと結びします。
てを上に折り上げ、たれを重ねます。 - たれをての横から出して結びますが、この時たれ先を上に引き抜かないようにします。
- たれ先を下に残したまま引き締めて完成です。
二結び目で、たれ先を引き抜かず、折り上げるだけにするのがポイントです。
矢の字結び
矢の字は「引き抜き」で結ぶ方法です。
「引き抜き」の結び方とは、ひと結び目でたれをすべて引き抜かずたれ先を下に残しておく結び方です。
そのため裏面が上に出ます。リバーシブル帯など裏面も見せたい場合におすすめの結び方です。
- 始めは貝の口と同様に、て先を半分に折り、体に2周巻きます。
たれを折り込んで長さを調整するときに、たれを1.5倍ほど長く取ります。
てがひざ丈としたら、たれ先は床に付くくらいがちょうど良いです。 - たれを上に重ね、そのまま上に引き出してひと結びしますが、
たれ先を引き抜かず、下に残しておきます。
裏面が上に出て、二重になっている状態です。 - たれ先がおはしょり線くらいの位置になるように、上に引き出します。
ちょうど良い長さになったらしっかりと引き締めます。 - ここからは貝の口と同様です。
てを折り上げ、たれを上に重ねます。 - たれを横から出して引き締めます。
- 引き締めて形を整え完成です。
ひと結び目を「引き抜き」で結ぶのが一番の特徴です。
(引き抜かないのに「引き抜き」という名称でややこしいです)
貝の口・吉弥結び・矢の字結び比較
結ぶ時の方法と、結び上がりの形が微妙に異なる3種類の帯結び。
それぞれ結び分けたい場合のご参考になれば幸いです。
貝の口
始めに長さを調節したら、2回結ぶだけの結び切りの形で、たれ先はありません。
吉弥結び
2回目を結ぶ時に、たれを引き抜きません。
たれ先が斜めに下に出た粋な形です。
矢の字
1回目を結ぶ時に、たれを引き抜かず、たれ先を下に残しておきます。
上に帯の裏面が出ます。たれ先はまっすぐです。
夏も冬もOKの貝の口
今回は新作浴衣に小袋帯でご紹介しましたが、カジュアルな着物や、羽織下にも合います。
結び目が平らですので、椅子に座るのも楽々☆
簡単、楽ちん、キリッと小粋な貝の口結び(吉弥結びと矢の字結びも)、ぜひお試しください。
ちなみに、きもの掘り出し市ご来場特典として、帯結びの方法を簡単にまとめたペーパーを配布しております。
vol.18が今回の貝の口結びの回です。
お料理のレシピカードをイメージしたかわいいデザイン。
ご来店の際は、ぜひお持ち帰りいただければと思います!!
きもの町の半幅帯で簡単かわいい着物コーデ♪
今回ご紹介した貝の口には、ある程度固さと張りのある帯がおすすめです。
直線的な形がピタッと決まり、ゆるみにくくなります。
半幅帯「レトロフラワー」は、しっかりとした地でキリッと締めやすいので貝の口によく合います。
また、「献上柄風」シリーズも締めやすく、古典的でシンプルなデザインが貝の口を引き立てます。
その他京都きもの町では、いろいろな半幅帯、小袋帯をそろえています。
ぜひチェックしてみてくださいね。
きもの町ブログではいろいろな半幅帯結びをご紹介しています。
大人っぽくて体型カバーができる結び方や、周りと差がつくアレンジなどなど。
半幅帯コーデを楽しくするブログ『半幅帯のすすめ』シリーズ、ぜひご覧ください。
半幅帯の基本の結び方・巻くところだけを徹底解説!
大人の女性に人気の「みやこ結び」
まるで貝の口結び!京袋帯・名古屋帯・兵児帯で後見結び
キリッとかっこいい貝の口。半幅帯だけではなく京袋帯や名古屋帯でも結べたらうれしいですね。
京袋帯での貝の口と同様の形の帯結びは「後見結び」といいます。
結び方ご紹介しておりますので、チャレンジしてみてくださいね。
京袋帯・名古屋帯の後見結びはこちら
兵児帯の後見結びはこちら
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。