【はじめて着物】京袋帯・名古屋帯の結び方:基本のお太鼓結び1「全通柄編」(動画解説あり)

小ネタ

きもの町スタッフと一緒にレッスン!基本のお太鼓結び(一重太鼓)

きもの町で毎年新作をリリースしている京袋帯。「普通の名古屋帯は結べるけど、京袋帯はどうするの?」「京袋帯で調べても着付け方が分からない!」という方もいらっしゃるかと思います。
きもの町の京袋帯で、基本のお太鼓結びをする方法をご紹介します。

お太鼓結び(おたいこむすび)とは

「お太鼓結び」とは名古屋帯・京袋帯の一般的な帯結びで、四角い形をしています。
体に2周巻いた後、たれを折りたたんで四角く形作り、最後に帯締めを通して固定します。山(四角の上辺)の部分には帯枕という土台を入れて、厚みと高さを出します。
シンプルでありながら上品な帯結びで、カジュアルな着物にも締められますし、袋帯で正装に締められることもある帯結びです。つまり「お太鼓結び」を覚えておけば、カジュアル~セミフォーマルまで一通り対応できます。
基本となる技術が詰まっているので、しっかりと覚えておきたい結び方です。

お太鼓結びの歴史とメリット

江戸後期、亀戸天神の太鼓橋の再建完成の際に深川芸者衆が太鼓橋にちなんで結んだのが始まりというのが定説ですが、それ以前から同系統の帯結びは結ばれていたようです。ただ、江戸時代のお太鼓結び(またはお太鼓型の帯結び)は、帯揚げ帯締めを使わないもので、現代の結び方とは違う結び方をします。
現在のように帯枕・帯揚げ、帯締めを使用して固定するお太鼓結びは、明治~大正にかけて一般に広まり、現代ではすっかりスタンダードな帯結びとして定着しています。
お太鼓結びが女性の帯結びの代表的な結び方となった経緯は不明ですが、以下のような理由で、次第に定番となっていったのかと思われます。

  • シンプルで年齢に関わらず合わせやすい形。
  • コンパクトな形のため(比較的)活動しやすい。
  • 四角い形がフレームとなり、その中の帯のデザイン・染織技術が映える。
  • 体型を隠すことができる。
お太鼓結びをする着物や年齢、最適なシーンは?

お太鼓結びは、着物と帯の材質(格)が合っていれば、浴衣から色無地、付け下げなどどのような着物にも結ばれます。
特に年齢や未既婚の区別はないとされています。ルールとして決まっているわけではありませんが、お子様に結ばれることはほぼありません。おおむね本裁ち(大人の仕立て方)の着物に並幅(8寸=約31cm)の帯を締められるようになる年頃から結ぶようです。

一重太鼓と二重太鼓

一口にお太鼓結びといっても、お太鼓部分(四角い部分)が1枚のお太鼓結び(一重太鼓)と、2枚重なっている二重太鼓の2種類があります。平時または弔時の際は名古屋帯・京袋帯で一重太鼓を結びます。慶事や正装の際は長い袋帯で二重太鼓を結びます。
今回は基本の一重太鼓の結び方をご紹介します。

全通柄京袋帯のお太鼓結びの結び方手順(後ろ結び/お太鼓どめ使用)

帯の巻き方、結び方には実はいろいろな方法があります。(詳しくは「はじめて着物:京袋帯って何の帯?どんな結び方があるの?名古屋帯の種類と結び方まとめ」
今回は以下の手順での結び方をご紹介します。
1.後ろ結び
2.時計回りで体に巻く
3.結び目はお太鼓どめで留める。

今回のスタッフの方法

2分で確認!ショート動画

YouTube、Instagramでチュートリアル動画を公開しています。
1分で大まかな手順が分かります。流れを確認したい方はチェックしてみてください。

Instagramで見る(前編)

Instagramで見る(後編)

必要なもの

  • 帯板
  • 帯枕
  • お太鼓どめ
  • 仮紐 1本
  • 帯揚げ
  • 帯締め
  • 京袋帯

今回の結び方に向いている京袋帯は、全通柄(全面に柄が織り出されている物)です。
上下のないものが初心者さんにはおすすめ!

今回はお太鼓どめを使います。着付けクリップでも代用できますが、つまみ部分が飛び出しているため、お太鼓の形に多少影響します。差し込み式のお太鼓どめが無難かと思います。

基本の手順

事前に帯枕に帯揚げを巻いておきます。

  1. 帯の端を持ち、半分に折ります。

  2. 折った部分をしっかりと持ったまま、腕を伸ばします。
    そして、もう片方の手で帯を2つ折りにしていきます。
    この帯を2つ折りにした部分を「て」といいます。
  3. てを測ったら、測った位置を変えないように持ち替えます。
    測った位置から先を胴に巻いていきます。

  4. 胴に巻いて後ろで手を合わせます。
    折り目の輪になっている部分を下、口が上になるよう巻きます。

  5. 合わせたら、右手(たれ側の手)でまとめて持ちます。


  6. もう片方の手で、て(短い方)を上に持ち上げます。

  7. 右手を返してたれを上に重ねます。

  8. ての折り返し部分に親指が掛かった状態となるので、しっかりと引き締めます。


    下の折り返し部分も指をかけて締めます。

  9. もう1周巻きます。

  10. 背の高い方など、胴部分の帯の幅を広くしたい方は、2周目で折り目を調整します。
    外側を好みの幅で出します。
  11. 2周巻きました。

  12. てを掴んでしっかりと引き締めます。

  13. 帯の下線部分をお太鼓どめで留めます。

    胴に巻いた帯2枚まとめて留めます。
  14. 帯が巻けました。手を放しても大丈夫です。

  15. て(短い方)を前に持ってきて預けておきます。

  16. たれの根元の方を広げます。お太鼓どめが外れないよう注意してください。

  17. たれを前に持ってきてお太鼓の位置を決めます。

  18. 山を決めたら、内側に帯枕を当てます


  19. このような状態です。

  20. 帯山の真ん中を持って後ろに回します。


  21. 左右の手で、それぞれ帯端と帯揚げ(帯枕の紐)を持ち直します。

  22. やや前のめりになって背筋を伸ばし、帯山を背負い上げます。


  23. 胴に巻いた帯の上線上に帯枕が乗っている状態です。

  24. 帯枕が背中から離れないよう気を付けながら、帯枕の紐を結びます。
    結び目は帯の中に入れ込みます。


  25. 帯揚げは邪魔にならないよう仮結びしておきます。(ここできれいに整えて結んでもOKです)

  26. たれの中を整えます。説明画像では分かりやすいようにたれを上げています。
    実際に行う時はたれは下ろしたまま、中に手を入れて整えてください。



  27. 根元をきれいに広げます。


  28. 余りが長い場合は、角を折り込みます。

    さらに先端も折り上げてしまいます。
    落ちてこないよう、胴帯の中に入れてOKです。

  29. 中が整いました。

  30. 仮紐を当てて、お太鼓の下線の位置を決めます。
    ここで決めた位置がお太鼓の大きさとなります。


  31. 大きさの目安は、帯の下線~おはしょり線くらいです。(年齢、体型、好みによります)

  32. 下線の位置が決まったら、たれの内側に紐を掛けます。
    紐と一緒に帯の端と端を持ってピンと張ります。

  33. 紐に沿って指で軽く折り上げます。

  34. 折り目の真ん中付近を片手で持ちます。

  35. もう片方の手で残りのたれをたくし上げます。


  36. こういう状態です。

  37. たれがお太鼓の中に収まったら、帯の両端を持ち直して、たれ先の長さを出します。


  38. たれ先は人差し指の長さくらいが目安です。
    親指と中指で帯端を持って、人差し指を伸ばします。
    指先に帯の角が当たる感覚で長さを確認してください。

  39. たれ先が決まったら仮紐を前で結びます。
    お太鼓が崩れないように、まっすぐ前に巻いてゆるまないよう結んでください。


  40. お太鼓の形ができました。

  41. クリップで預けていたてを外します。

  42. てを後ろへ折り返し、お太鼓の中へ横向きに通していきます。

  43. 通す位置はお太鼓のすぐ内側です。

  44. てが出ている方とは反対側から手を入れます。

  45. て先をつかみ、お太鼓の中に通します。

  46. て先はお太鼓の幅より数センチ出るようにします。
    指2本分、または指の第1関節までと、自分の指を基準に決めると分かりやすいです。

  47. 残りのては、根元側で折り込んで始末します。こちらもお太鼓から数センチ出るくらいの位置で折ってください。

  48. お太鼓結びの形ができあがりました。最後にこれを帯締めで押さえます。
    片手で帯締めの真ん中を持ちます。

  49. 手をお太鼓の中に入れ、帯締めをつかみます。

    中でこうなっている状態です。

  50. 帯締めを通します。

  51. ゆるまないよう前に巻きます。


  52. 帯締めをぐっと前に引いて、しっかり引き締めます。
    この時、帯締めを片手で引っ張りながら、お太鼓の帯が重なってモタついている部分をトントン叩いてならすとゆるみなく締まります。

  53. 帯締めを結びます。(帯締めの結び方はこちら


  54. 帯締めを結んだら、帯の下線を留めていた仮紐は外してOKです。

  55. 帯揚げも結び、前面を整えます。(帯揚げの結び方はこちら

    衿の合わせ目、帯揚げの結び目、帯締めの結び目が一直線上だと美しいです。

  56. バランスを整えて完成です!


案外カンタンでしたか?頑張ればできそうでしょうか?
構造を見るとシンプルですし、慣れると手や体の感覚で結ぶことができます。

動画(日・英・中対応):お太鼓結びの結び方「全通柄」

動画も公開しております!

また、海外の着物好きの方からの需要や、海外からのお客様に浴衣を楽しんでいただきたいというお声を受けて、『kimonomachi_overseas_海外版』(海外向けきもの町のYouTubeチャンネル)やきもの町公式Instagramにて、英語、中国語版も公開しています。(現在ショート動画のみとなっています)

お太鼓結び英語版 

お太鼓結び中国語版 

お太鼓結びがきれいにできない!お悩みと注意点

基本とされているのに、意外と手順が多く難しいお太鼓結び。実はスタッフも大の苦手です。
もともと半幅帯派のスタッフK池。前結びで、羽根があったり左右非対称の形が楽しめる帯結びが大好きです。(そのことは半幅帯結びブログの豊富さからもお分かりいただけるかと思います)
そんなスタッフにとって、後ろ結びが向いている帯結びで、苦労して出来上がるのは左右対称な四角い形、それでいてシンプルなだけに粗が目立ちやすいお太鼓結びは本当に苦手とするところです。
難しいお太鼓結びをきれいに結ぶため、いろんな悩みどころと対策をマスターしてきました。皆様もスタッフと一緒に練習して、コツを掴んでいただければと思います。

とにかく後ろで結べない
見えないので手の感覚でイメージして結ばなくてはいけない

A.前結びや、途中まで前で行う方法はありますが、どんな結び方をするにしても練習あるのみです。
自装で後ろ結びの場合、今どんな風になっているのか客観的な様子がわかりません。
とにかく手や体に当たる感覚を鍛えて、鏡がなくても結べるようにしましょう。
あとは肩回りのストレッチも行っておくと体が楽です。

2周巻いて結び留めるときにぐちゃぐちゃになる

A.今回ご紹介したお太鼓どめを使う方法がおすすめです。
2周巻いて留めるところまでは、結ぶ、ねじるなどいろいろな方法があります。今回のお太鼓どめを使う方法でしたら、帯がぐしゃっとならないのでおすすめ。
基本の手順通り2周巻いて下を留めるだけでいいのですが、よりすっきりとする方法をご紹介します。

  1. 基本の手順11番の2周巻いたところです。

  2. てを左わきの方まで引き出します。

  3. て先を右斜め下におろします。

  4. 胴に巻いた帯2枚と、おろしたての3枚をお太鼓どめで留めます。

  5. 留めました。


  6. 帯の上に三角に飛び出している部分ができます。

  7. 胴帯の中に折り込みます。

  8. きれいに巻けました。ここからは基本の手順15番以降と同じです。
お太鼓の良いバランスが分からない

A.お太鼓結びの良い形とされるものは時代によって変わります。また、ご年齢や体型によっても変化します。帯の材質によっても仕上がりの表情は変わります。
傾向としては、昔はお太鼓の上線はこんもりと丸く山形に。今は比較的四角く、まっすぐな形が好まれているようです。
帯の上線は、若い方ほど高めにし、ご年齢が上がるほど低くするとバランスが良いとされています。体格の良い方はやや大きめに、小柄な方は小さく。さらにフォーマルは高く厚めに、カジュアルはあっさりと仕上げると雰囲気が出ます。このように年齢・体型・シーンによって調整するため、いつでもどんな方にも当てはまる正解はありません。
カジュアルに結ばれる一重太鼓でしたら、あまり考えすぎずお好みで決めて大丈夫です。各部分の目安は結び方の説明でご紹介していますので、ご参考にしてください。

帯山の線がまっすぐ決まらない

A.まず、帯山は直線にする必要はありません。
実は「お太鼓の上がまっすぐになりません」「帯枕が小さくて両端が丸くなります」といったお問い合わせはよくいただきます。ですが、お太鼓はそういうものです。お太鼓結びは太鼓橋を模した形が由来といわれているように、やや山なりにカーブを描くのが昔ながらの形です。そのため楕円の帯枕を使用し、枕で押さえられていない帯の両端は自然に下がるようにできています。
ただ、上でご説明したように、現代は比較的まっすぐな四角に仕上げる傾向になっています。
現代的な形にしたい方は、帯の材質と帯枕にこだわってみてください。固めで張りのある帯でしたらビシッとまっすぐに折れますし、枕で支えられていなくても生地そのものの固さによって形が固定されます。また、楕円ではなく直線的な長めの帯枕を使うことで、帯山の形がまっすぐ保てます。

長方形に近い形の帯枕「空芯才」
帯の上線が斜めになる、左右非対称な四角になる

A.帯山を決めたときにまっすぐ折れているか、背負い上げるときにまっすぐ持ち上げているか、手癖を確認しましょう。
まず帯山を決めて、帯枕を当てるときに、山の折り目がまっすぐ折れているか、手の感覚で確認します。
さらに、帯山はまっすぐ折っても、背負い上げると利き手のほうに傾く、または利き手の方を勢いよく跳ね上げているといったこともよくあります。今回結び方を実演したスタッフK池もよく右側がへこんでいます。これは何度も練習し、写真などで確認し、手癖を修正していくしかありません。

よく右の山が下がるK池

ちなみに明治大正頃の絵を見ると、あえて斜めに崩したお太鼓なども見受けられます。まっすぐに左右対称にしなくてはいけないという現代の感覚を疑ってみてもいいかもしれません。

お太鼓の下線・たれ先が斜めに!水平な線にならない

A.帯の布目を通しましょう。
帯は縦糸と横糸を組み合わせて織られています。その糸の目が渡っている方向に沿って、まっすぐお太鼓の線を決めるようにします。
帯山の線やお太鼓の下線を決めた時に、帯の両端を持ってピンと横に張ってみましょう。指の感覚で帯の地の目が通っているか確認してください。横糸の線に沿って水平の線が取れている場合、ピシッと1本の糸がまっすぐ通っている感触が分かると思います。

まっすぐの線が取れていない場合、引っ張る方向が食い違って、一直線に糸が通っていない感触になります。ボヨンボヨンとバイアスがかかっている感じです。

まっすぐにしているのにだんだん崩れてくる場合は、仮紐を結ぶときや手を通すときに斜めに引っ張りたりしていないか注意です。
紐も手も、水平にそっと動かすのがポイントです。

帯が崩壊!?帯締めでしっかり締められない

A.帯締めを通す位置を確認してください。また、帯のねじり目や折り込みなど分厚い部分は平らにならしましょう。
お太鼓結びは、帯を折りたたみ、帯締めですべてまとめて固定している結び方となっています。そのため、帯締めで要所を押さえられているかが大切です。
お太鼓の中に通すときに、ての真ん中を押さえるようにします。そのまま真っ直ぐに前に巻き、体の真横の位置で胴帯の真ん中部分に帯締めがくるようにします。つまり、お太鼓を下目に作った場合、後ろから前にかけて斜めに上がっていく形になりますが、それで大丈夫です。

帯のねじり目や分厚い折り込みなど、モコモコした空間があると緩みの原因になります。帯締めを締めるときにしっかり平らに均して、帯締めと帯に隙間ができないようにしましょう。

どうしても結べない時は

頑張って練習したけど、どうしてもできない!そんな時は、作り帯という選択肢もあります。
あらかじめ帯結びの形を作っておき、紐とフックで着用する帯です。
「お太鼓の柄の出方がきれいでした。」「お太鼓結びが私には難しかったので、簡単に着ることができて本当に助かっています。」とご好評いただいている京都きもの町の作り帯。
ぜひご検討くださいね。

*加工のみの注文ページです。帯は別でお買い上げいただくか、もしくはお手持ちのものを送っていただくこととなります。
※きもの町の作り帯はお太鼓部分と胴部分に分かれています。切らない加工はできかねます。

きもの町の京袋帯で基本のお太鼓結び♪

今回は全通柄といって、全面に柄がある帯のお太鼓結びの結び方をご紹介しました。

毎年新作がリリースされるきもの町のオリジナルの京袋帯。
着物好きさんも満足のデザインはもちろん、織り特有の立体感、華やかさと素材感が魅力です。
きもの町の京袋帯は、全長約3m80cmと十分な長さがありますので、普通体型~ふくよかめの方にもちょうどよく楽しんでいただけます。
初心者さんの場合は、連続柄で、上下左右のない柄など、柄の出し方に迷わないデザインがおすすめです。

京袋帯のお太鼓結びのバリエーションと変わり結び

お太鼓柄はこちら(2025.02.21アップしました!)

京袋帯・名古屋帯にはお太鼓柄(ポイント柄)といって、お太鼓結びをしたときに見える部分のみに柄付けがされているものがあります。その場合は、きれいに柄を出すために違う巻き方をします。
お太鼓柄の帯の結び方は別途ご紹介していおりますのでご覧ください!

その他変わり結び

名古屋帯といったらお太鼓結びしかなくてつまらない。
そんな方のために、いろいろな変わり結びもご紹介しています。基本のお太鼓結びをマスターしていれば、アレンジも可能です。
京袋帯だからこそできる自由自在なアレンジ。ぜひお気に入りの帯で、素敵な帯結びをお楽しみください!

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