※こちらは、人気記事『帯留め・帯締めってなに?どんな種類があるの?基本の「本結び」の結び方もご紹介!【はじめて着物】』の再掲載となります。
帯締めと帯留について
浴衣や着物に慣れてくると、だんだん違った着こなしをしたくなります。
帯締めや帯留などの小物を使えば、モデルさんのようなおしゃれなコーディネートも可能です!
でも、そもそも帯締めって何でもいいの?帯留にはどんなものがあるの?
帯留をつける三分紐って何?浴衣につけても変じゃない?
興味はあるけれども疑問でいっぱいの方に向けて、今回は帯締めと帯留について徹底解説です!
帯締めって何?
帯締め(おびじめ)は帯結びを固定する紐状の小物です(画像の矢印の紐)。帯とめ紐、帯紐といった呼び方をする場合もあります。
お太鼓結びをするときなどに、帯の形がくずれないよう押さえる役割をもちます。
帯の真ん中で前結びをするため、案外目立つ小物です。コーディネートを引き締め、着姿の印象を決める大事なポイントでもあります。そのため、固定を必要としない帯結びをした場合にも、飾りとして帯締めを着ける場合があります。
素材は正絹やポリエステルなど。形状も組紐や、布製の丸ぐけの紐、飾り結び用に先が何本にも分かれているものなどいろいろな種類があり、着物の格や色柄に合わせてコーディネートします。
ちなみに、和装の歴史上では比較的新しいアイテムです。
江戸時代頃は、帯揚げ、帯締めを使わない帯結びが一般的でした。帯締めは武家の帯結びや、歌舞伎役者の舞台衣装など一部で使われるものでしたが、その場合も布で綿をくるんだ丸ぐけ紐の帯締めが主流。
現在のような、組紐の帯締めが一般的になったのは、江戸時代後期から明治時代に「お太鼓結び」が広まったこと、廃刀令によって刀の下げ緒を作っていた組紐職人が帯締めを作るようになったことが要因と言われています。
帯留って何?
帯留(おびどめ)とは、主に帯締めと合わせて使う、帯の装飾品です。
昔は今とは異なる形で、帯締めの両端に留め具として装着されるものでした。ベルトのバックルのような役割の、帯結びを固定するための実用品です。
現在では、装飾用として紐に通して付けるものが主流となっています。
素材やデザイン、大きさはさまざまで、布やアクリル、ガラスはもちろん、陶器や金属もありますし、ジュエリーとして高価な宝石や貴金属で作られたものもあります。シンプルな丸や四角のストーン、動植物など多種多様なモチーフがありますので、コーディネートのポイントとして楽しむことができます。
注意したいのは、裏面の紐通しの形状とサイズです。通常、モチーフに紐通し用のリング状の金具がついたものが一般的ですが、パチンと留めるクリップ式や、金具ではなくゴム式のもの、トンボ玉などモチーフそのものに紐を通す穴があるもの、透かしモチーフの空間に紐を通すものなど、いろいろな形があります。
装飾としての帯留が盛んに付けられるようになったのは、やはり明治以降です。西洋文化が取り入れられる過程で、ドレスに光り輝くジュエリーをあしらった洋装との兼ね合いで、和服にも豪華な帯留や指輪を合わせるようになりました。
それまで刀の鍔などの装飾品を作っていた職人が、廃刀令によって帯留を作るようになったと言われています。帯締めも帯留も刀剣の装飾と深い関わりのあるアイテムといえますね。
帯締めと帯留についてQA
帯締め、三分紐(二分紐、四分紐)何が違うの?
帯締めは帯を固定するための紐全般のこと。上で説明した通り、いろいろな素材や形状のものがあります。
三分紐は、帯締めの太さで呼び分けた名称です。幅が3分(約9mm)の平たい紐状なので、三分紐といいます。もっと細い二分紐や、逆にもっと大きい四分紐など、幅に応じて呼び方が変わります。帯留金具に通しやすいシンプルな平打ち(平たい組紐)になっています。
幅だけではなく、長さも異なります。通常の帯締めは、前で本結び(こま結び)をし、端を脇の後ろの方まで持ってきてはさみ込みますので、そのための十分な長さがあります。三分紐はひと巻きして帯留を通して結ぶだけですので、長さは130cm~150cm程度と短めです。
三分紐は通年使えますが、レース組みの涼し気なものなど、季節感に合わせたデザインもありますので、コーディネートに合わせて選んでください。
帯留をつけるときに普通の帯締めは使えるの?
金具のサイズが合えば可能ですが、基本的にできない場合が多いです。
通常の帯締めは、それだけで帯を固定できるようにしっかりとした厚みや太さがあります。帯留の金具に通すことは難しいでしょう。大きな房がついていることもありますし、通常の帯締めは長さもあります。長さが余ってしまうので、帯留をつけるのには不向きです。
帯留や帯締めは浴衣につけてもいいの?
もちろんOKです!
浴衣の場合は、半幅帯で文庫結びなどをすることが多いかと思います。文庫結びのような帯締めが必要な帯結びをしていなくても、飾りとして帯締めや帯留を付けるのは問題ありません。
浴衣は夏のカジュアル着ですので、普段着のオシャレは自由。
夏らしくレース組みの帯締めやガラスの帯留など、素材感や色、モチーフが涼しげなものを合わせると、より素敵になるかと思います。
フォーマルに帯留は可?
これはケースバイケースです。
現在、正礼装で帯留をすることは一般的ではないようです。例えば、成人女性の第一礼装の留袖には、金銀糸の入った平打ちの帯締めを本結びで合わせることが格に応じた装いとされます。
では、フォーマルの場合はすべて帯留NGかというと、必ずしもそうではありません。
前述した通り、帯留にはダイヤやパール、翡翠や珊瑚など宝飾品として使われる素材で作られたものがあります。そういった帯留は礼装にもふさわしいとされ、歴史的にも問題なく使われていました。
洋服で言うと、フォーマルドレスにジュエリーを付けるような席であれば、礼装に宝石の帯留を付けてもOKではないでしょうか。
なお、成人式の振袖といったご本人が主役の盛装では、お好みの豪華な帯留でより華やかにされるのも自由かと思います。
困ったときは、主催者や身近な詳しい方に相談することをおすすめします。
ちなみに、お茶席では基本的にしてはいけないとされているようです。
お道具を傷つける可能性がありますし、装飾品をつけるのはお茶の精神にそぐわないと考えられるからです。
こちらも場合によりますので、迷ったときは先生や主催者に尋ねるのが一番です。
帯締めの結び方と帯留の付け方
基本の帯締めの結び方が分からない!帯留もどうやってつけているの?
そんな方のために、それぞれ基本の手順をご説明します。なお、説明文の中の右、左は「着用者からみて右、左」でご説明しています。
帯締めの本結び(こま結び)
まず帯締めの基本の本結び(こま結び)をご紹介します。
結び方としては2回絡げるだけの固結びと一緒です。あまり難しく考えず、まずはやってみましょう。
- 帯締め(三分紐)を帯に巻いたところからスタートです。
ちなみに帯結びは銀座結びです。帯締めでしっかりと締めあげなければいけません。 - 前で左右の長さをそろえて持ちます。
- 左を上に重ねます。着物の衿と同じく、着ている人の左手側が上です。
- 上に重ねた紐を1回絡めて上に出します。
- ゆるまないよう引き締めます。
1度、前にぐっとひっぱり、左右に引き締めるとゆるみなくしっかり締まります。 - ここからは中心の紐の重なりを指で押さえながら結びます。
- 右上側の紐を左下に流します。紐の交点は指で押さえたままです。
- 左の紐を下から上に折り返します
- 右の紐の輪の中に通します。
- 左、右と順番に紐を引き締めます
- 帯締めの端は脇の方へ持っていきます。
- 胴に巻いた帯締めに、端を上から下に挟み込みます。
端は上に出しておきます。 - 仕上がりを整え、帯揚げも結んだらできあがりです。
スタッフの結び方をご紹介しました。
結びの構造としては固結びなので、そんなに複雑ではありません。
ポイントは、始めに着用者の左手側を上に重ねてひと結びすることです。あとは、上に出ている方を斜め下に折り、下から出ている方を上に掛ければできあがります。
細かい部分については、いろいろな方法があり、TPOによって結び分けが必要という方もいるのですが……普段着の場合そこまで気にしなくても大丈夫!昔の写真を見ても、結び方や端の始末の仕方はまちまちです。今回ご紹介した方法が現在もっともスタンダードな結び方ですので、こちらで結べば、問題になることはありません。
帯締めの結び分けについて、もし気になる方がいらっしゃれば追々ご説明したいと思います。
帯留のつけ方の手順
以前のブログでもご紹介しましたが、改めて帯留の付け方をご説明します。
簡単に流れを説明しますと、帯留を通した紐を前で本結びし、結び目を後ろへ回して帯結びに隠します。
0.事前に
帯留の金具と紐の幅が合っているか、必ず確認しておきましょう。
現代の帯留金具はおおむね一律の大きさですが、デザインによって異なる場合があります。
また、アンティーク品などにはとても小さいものがあります。スタッフは一分留め(1分=約4ミリ弱)という極小サイズの帯留を持っています。
帯締めも、三分紐だけではなく二分紐から四分紐までいろいろな幅のものがあります。
当日になってあわてないよう、付けたい帯留に三分紐が通るか、前もって確認をしましょう。
- 浴衣(着物)を着て、帯も完成したところからスタートです。
今回、帯結びは「リボンレイヤー結び」にしました。(帯の結び方はコチラ) - 金具の輪に三分紐を通します。
- この時、端を結ぶかクリップで留めておくと、帯留の落下防止になって安心です。
- 帯の上に三分紐を巻きます。帯の結び目の下に通して、ねじれないように注意しましょう。
- 前で紐の両端をそろえて持ち、帯留は脇の方によけておきます。
- 結び方は帯締めの本結びと一緒です。
まずゆるみのないようひと結びします - 紐をグッグッと前に引っ張り、左右を引き締めるように結ぶとしっかりと締まります。
- もう1度結んで固く本結びをします。
- 紐がしっかり締まっているか確認します。指1本がギリギリ入るくらいがちょうどです。
- 余りの紐は、リボン結びの要領で束ねておくか、胴に巻いた部分にくるくるとはさみ込んでしまいます。
- 結び目を後ろへ回します。
この時、帯留を手で持って紐だけを滑らせるようにすると良いでしょう。
帯留金具を帯から少し浮かせるように持つと帯を傷めません。 - どんどん回します。三分紐の結び目が、帯結びに隠れる位置まで回ったらOKです。
- 帯留は真ん中に持ってきて完成です。
体の中心で、衿の合わせ目と帯留が一直線になると美しいです。 - はずし方
外すときは、付けるときと逆の手順です。三分紐を前へ回し、結び目をほどきます。
この時、必ず帯留を手で持ってから紐をほどくようにしましょう。
付けるときは気を付けていても、外す時はつい無意識にほどいてしまいがち。
お気に入りの帯留や、貴重な帯留をうっかり落として壊してしまったり、失くしてしまっては大変です。なぜこのように念を押すかというと、スタッフもたびたび落としたことがあるからです。
なので、紐を取るときは必ず帯留に手を添えるようにしてくださいね!
動画:帯留のつけ方
長々とご説明しましたが、動画で見れば簡単にご理解いただけると思います!
帯留の付け方の動画はこちらから!↓↓
帯締めや帯留でいろいろな着物コーディネートを楽しもう
今回は、基本の帯締めの結び方と帯留の付け方をご紹介しました。これで、前から付けてみたかった帯留にも自信をもって挑戦できますね!
同じ着物(浴衣)と帯でも、帯締め1本、帯留1つで印象がまったく変わります。手持ちのコーデの雰囲気を変えたり、テーマに合わせてモチーフを選んだりと楽しみ方は無限です!
自分だけのセンスや遊び心を活かして、帯留のオシャレにチャレンジしてください☆
応用・アレンジ編
帯締めのアレンジ結びはこちらから
基本の付け方に慣れてくると、オシャレとしてちょっと変わった付け方もしてみたくなります。
せっかくかわいい三分紐。三分紐だけのアレンジはできないかな?
そんな方のために応用編として、三分紐のみのアレンジ結びもいくつかご紹介しています。
ぜひご覧ください。
かわいいアレンジはこちら(2021.11.3更新)
帯留のアレンジ・自作
帯揚げの結び方はこちら
帯締めと同様、お太鼓結びに欠かせない帯揚げの結び方もご紹介しています。
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。