2024年京都きもの町から誕生した新ブランド「Clarus(クラルス)」
この夏、京都きもの町から浴衣の新ブランド「Clarus(クラルス)」が誕生しました。
「清らか」「明るい」という意味を持つラテン語よりインスパイアされたブランド。
その名前の通り、花や風景などの清々しい美しさをモチーフにした明るく華やかな柄や、カラフルかつ透明感のある色遣いが特徴です。
纏う人の魅力を引き立て、輝くような浴衣姿を演出します。
「Made in Japan」のプリント、技術
浴衣生地が染められたのは、1966年から続く日本有数の染色工場。
創業以来、「Made in Japan」の物作りへの前向きな姿勢と強いこだわりをもって、商品開発・加工技術の向上に努めてこられた工場です。
Clurus(クラルス)の浴衣生地は、シルクスクリーンというメッシュ状の製版に染料を染み込ませてプリントを行う手法で染められています。色味をはっきりと、彩度を高く表現できる一方で、1つの図案・プリント生地の中で使える色数が制限されるため、手描きタッチの色のゆらぎを美しく表現するには、技術が必要な手法です。
それを踏まえ、社内で製版を行うことで確立されたプリント技術。それが最大限発揮された色彩の豊かさ、柄に奥行きや臨場感が感じられるような表現力が持ち味です。
海外プリントではなかなか難しい繊細な色彩表現。Clurus(クラルス)の浴衣の透明感のある仕上がりは「Made in Japan」を大事にした企業風土だからこそ実現した美しさです。
美しい意匠のこだわり
今回の浴衣図案は、創業130年を迎えるメーカーとタッグを組んで作成しました。
「夏の思い出」「植物図鑑」を題材にして、連想されるイメージを具体化し、デザイナーが一つ一つ丁寧に描き起こしたデザインです。
まずそれぞれのテーマに沿った「オリジナルスケッチ」を作成し、意匠を固め、「図案」の制作に移ります。
「図案」とは、制限された色数の調整や、柄が反転したり繰り返しても違和感のないように調整された絵のこと。
自由に手描きでラフを描く「スケッチ」は、独創性と表現力が求められるのに対し、印刷する為の「図案」は制約やルールが多く、長年の経験と知識量、忍耐力が必要な技です。
シルクスクリーンの手法を最大限に生かせるよう、点描を重ね、綺麗なグラデーションを作り上げます。
色の重ね方や相性などを染工場の職人と相談しながら、「図案」を完成させ、美しい布地へと仕上げました。
デザイン紹介
夏の思い出 シリーズ
「夏の思い出」それは、花火や夏祭り、海や夏の花など、誰もが目にしたことのある夏の風物詩や日本の伝統的な風景。みずみずしい草花の姿や、花火の儚くも忘れられない一瞬の美、幻想的な金魚などが、夏らしい鮮やかなブルーと、ノスタルジックなセピア系の2色で表現されています。
夏祭りや花火大会、海水浴など、さまざまな夏のシーンで活躍しそう。楽しい季節をより鮮やかに彩り、特別な思い出として心に残る、そんな浴衣を目指しました。
ブルー系
雨上がりのあじさい 空色
白に淡い花群青色の地。白や紺色、にじんだセルリアンブルーで表現されたアジサイの花。淡いベージュの影に挿し色としての赤紫色やピンク色がみずみずしく鮮やかな印象です。
水彩調の表現がまるで本当に雨を受けて輝いているかのような浴衣です。
目覚めのあさがお 薄青
ラフに色付けしたような淡いブルーと白の地。淡くにじんだ水彩調の朝顔は、深い紺に藍色ぼかしの花、中央に淡いピンクがポイント。黄緑に深い緑の葉。夏の朝の空気のように爽やかなデザインです。
夏の花といえばやっぱり朝顔。京都きもの町でも過去にたくさんの朝顔デザインの浴衣を作ってきました。
Clarusの朝顔はブルーの濃淡が美しく、お花の清らかさだけではなく、花が咲いた時間の空気まで感じとれるような清涼感のあるデザインです。
星降り花火 紺青
淡い群青色に濃淡のあるネイビーの流れ。白やネイビー、水色の線で表現された花火。夏の夜に次々に打ちあがる花火のスターマインのような鮮烈な雰囲気の浴衣です。
夏の空に広がる花火の豪華さを表現したデザイン、それでいて単調にならない繊細な美しさのある浴衣が欲しい。そんなスタッフの希望を叶えたデザインです。紺青の夏の夜空のような地色、白を基調に紺や水色などを重ねた細やかな花火の表現が素敵。
キリッと冴えた雰囲気で着こなしていただけます。
水中花と夢金魚
白地にごく淡い紫みの青のぼかし。水彩調の蓮は、深い紺に藍色、黄緑の挿し色の入った葉、その間から長く伸びた茎の先にやわらかな赤紫に色づいた花、ベージュの影。夏の夢のような世界をふわふわと浮かび泳ぐ金魚たち。
蓮や睡蓮のデザインを希望したスタッフと、金魚、それも愛らしさがありつつキャラクターっぽくならないリアルさを合わせ持つ理想の金魚を追求したいというスタッフ、2つの意見が合わさって生み出されたデザインです。
希望と理想が掛け合わされただけあって、幻想的な雰囲気に仕上がった浴衣です。
セピア系
移ろいのあじさい 褐色
白に淡いトープベージュの地。白やセピア色ににじんだ浅いパープルグレーで表現されたアジサイの花。挿し色としてのからし色と金茶色が、輝かしい思い出を感じさせます。
アジサイはドライフラワーとしても楽しめるお花です。まるで時間が経っても美しいまま形を留める、思い出のお花のようなデザインです。
微睡むあさがお セピア
白にラフに色付けしたような淡いトープベージュ。淡くにじんだ水彩調の朝顔は、懐かしい記憶の中に咲いているかのよう。深い茶にセピア、浅いパープルグレーのぼかしの花、中央の山吹色がポイント。黄緑に淡い青紫の葉。
セピア系の色がノスタルジックな雰囲気です。子どものころ、毎朝の開花を楽しみにしていたことを思い出しそう。淡い茶のようなあずき色のような色が団十郎朝顔にも似ている、お花好きスタッフお気に入りの1枚です。。
雲煙る花火 セピア
淡いトープベージュや濃淡のあるセピアの流れ。白や濃いブラウン、アンバーの線で表現された花火。たくさんの思い出の中の花火をすべて浴衣に閉じ込めたようなデザインです。
花火というと色鮮やかに光り輝くイメージですが、落ち着いたカラーで表現されています。糸菊やヒガンバナのような細やかな花火で、秋口になっても楽しめそう。煙で霞んだ空に消えていく花火を惜しみながら見るような、切なさと懐かしさを感じさせるデザインです。
泥中花と陽金魚
白地にごく淡いトープベージュのぼかし。水彩調の蓮は、セピアにパープルグレー、黄緑の挿し色の入った葉、長く伸びた茎の先にからし色や金茶色に色づいた花、ベージュの影。金魚がふわふわと浮かび泳ぎ、古い伝承の世界のような不思議で懐かしい雰囲気です。
蓮は泥の中から美しい花を咲かせることから、清浄さや自律心の象徴となっています。そんな蓮の神秘的な雰囲気をくすみ系の配色が演出し、金茶色の金魚が明るさを添えています。他にはない浴衣をお探しの方、自分の個性を大切にしたい方におすすめです。
◆植物図鑑 シリーズ◆
「植物図鑑」シリーズのテーマは、自然の美しさと季節感。
ピンク系とブルー系でラフに着彩された個性的な雰囲気の草花は、Clarusの為に一つ一つ描き起こされたものです。いつか見た風景や、物語の花園に咲くお花を集めた図鑑のような、花の特徴をとらえた色とりどりのボタニカルスケッチが魅力的。
草花のいきいきとした華やかさと透明感で、夏を涼やかに彩ります。
ピンク系
ロサ・カニーナ Rosa canina ダスティピンク
ごく淡いグレイッシュなピンクの地。ペン画調の細い線で描かれた野茨の花々が流れるように配置されています。ピンクやオレンジ、パープルのぼかしの花にところどころ小さく挿された明るい黄色、ごく淡いコバルトグリーンの葉、パープルグレーが陰影をつけます。
ロサ・カニーナはドッグローズ(イヌバラ)と呼ばれる原種系のバラです。園芸種の華麗な花とは異なる魅力があり、詩にも歌われています。野のバラの可憐さや力強さが表現されています。
パパウェル・ロエアス Papaver rhoeas コーラル
ごく淡いピンクベージュの地。ペン画調の細い線で描かれた雛罌粟(ひなげし)の花が縦向きに配置されています。ピンクにオレンジやローズレッドの挿し色、明るい黄色の花、淡いコバルトグリーンの葉に淡いパープルグレーのにじんだ影。
パパウェルはポピー(ひなげし)の学名です。フランスではコクリコと呼ばれ、国花とされています。
下向きにつく蕾の不思議な形と、ふわりと風に揺れる花が魅力。ポピーの華やかな可愛らしさを表現した浴衣です。
アネモネ・コロナリア Anemone coronaria ミスティピンク
ごく淡いピンクベージュとグレイッシュなパープルが入り混じった地にピンク、ローズレッド、オレンジにパープルグレーの配色。ペン画調の細い線で描かれた大ぶりのアネモネが縦向きに配置されています。
春ごろから開花するアネモネ。名前の語源はギリシャ語の「風」からと言われており、神話や伝説によく登場します。アネモネのふわりと軽やかな雰囲気と、暖かみのある美しさを描き留めたようなデザインです。
マルチフローラ Multiflora ピンク
白地にピンク、オレンジ、ローズレッドや明るい黄色の花、パープルグレーの影、淡いコバルトグリーンの配色。野ばらやデイジー、ヒース、カンパニュラなどのブーケがラフに着彩されたペン画調で表現されています。
マルチフローラはたくさんの花という意味です。庭園や野に咲く花の明るさや美しさを集めたデザインです。
ブルー系
ロサ・カニーナ Rosa canina スモークブルー
ごく淡い白緑色の地。ペン画調の細い線で描かれた野茨の花々が流れるように配置されています。パープルや淡いブルーの花にところどころ小さく挿された明るい黄色、ごく淡いアンティークグリーンの葉。
ややくすんだブルー系の配色で、霧たちこめる森や明るい海岸、川辺など、野のバラが咲く自然の空気を思い起こさせます。
パパウェル・ロエアス Papaver rhoeas ブルー
ごく淡い白緑色の地。ペン画調の細い線で描かれた雛罌粟の花が縦向きに配置されています。あざやかな青や青紫、淡いパープルに明るい黄色の花、淡いアンティークグリーンの葉。
ブルーと黄色の反対色の組み合わせがお洒落です。
ポピーの咲く初夏らしい、明るく爽やかな1枚です。
アネモネ・コロナリア Anemone coronaria ペールブルー
ごく淡い白緑色と水色が入り混じった地に青や青紫、パープルの配色。ペン画調の細い線で描かれた大ぶりのアネモネが縦向きに配置されています。
「風」が語源のアネモネの花の、凛々しさや涼やかさが表現されています。
マルチフローラ multiflora サニーブルー
白地にあざやかな青や青紫、パープル、明るい黄色の花、淡いアンティークグリーンの配色。野ばらやデイジー、ヒース、カンパニュラなどのブーケがラフに着彩されたペン画調で表現されています。
全体はブルー系ですが、お花に挿された黄色がまるで外の光を浴びて輝いているかのよう。生き生きとした美しさを放つデザインです。
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輝きを袖にうつして留めたい✨新ブランド「Clarus」
新ブランド「Clarus(クラルス)」の浴衣について詳しくご紹介しました。
お花や風景をモチーフにしたデザインを見ていると、以前きもの町スタッフが行っていた切り抜きアートを思い出します。
切り抜いたイラストの着物に風景を重ねる遊びです。
こんな風に自然の美しさを映して纏いたい、Clarusの浴衣ならそんな願いも叶いそう。
お花が好きな方、夏らしく清涼感のある浴衣、他にはないデザインの浴衣を探している方もぜひチェックしてみてくださいね。
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