卒業式シーズンが目前となりました。「卒業式には私も袴が着たい!」「自分で着付けられたら素敵だなあ」そんな風に考えている方も多いのではないでしょうか。
前回までの「準備編」、「袴着付け本編」では、袴の着付けに必要なものや詳しい着付け方をご紹介しました。
きれいに着付けができても、着くずれてしまっては残念ですね。
そこで今回は、袴が着くずれないための注意点と、準備しておくと良い持ち物をご紹介します!
ぜひ、卒業式の前に予行練習してみてくださいね!
前回までの記事はこちら
ちょっとした所作でより美しく!
着くずれない所作といっても、難しいお作法を覚える必要はありません。
注意するのは「袖を持つ」「裾を浮かせる」「背中をつぶさない」の3点だけです。
洋服と違って長い着物の袖や裾の扱いに気を付け、帯結びをつぶさないことがポイントです。
まず良くない例をご覧ください。
- 良くない座り方
袖はぶら下がったまま、裾を踏み敷いて、背もたれで背中が潰れてしまっています。
↓
その状態から前のめりになると、袴の後ろが引っ張られて背中から浮いてしまいます。
↓
帯が潰れているので、浮いた袴の後ろがゆるんでズルズルに着くずれてしまいます。 - 良くない階段の昇降
階段の昇り降りで裾を上げずに引きずっています。
踏んでしまうと着くずれの原因になりますし、第一に危ないですよね。 - 良くない玄関の出入りの仕方
袖はブーツに引っかかり、裾は床に引きずっています。
せっかくの着物や袴が汚れますし、単純に脱ぎ履きがしにくいと思います。
このように、気を付けないとせっかくの袴姿も台無しです。
美しくないだけではなく、汚れたり、事故の元になったりします。
ですが「袖を持つ」「裾を浮かせる」「背中をつぶさない」を意識していただくだけで、すべて改善します。
実際にどのようにすれば良いかご紹介しますので、ぜひ練習してみてくださいね。
袖の取り方
物を取ったり、立ち座りの際はまず袖を押さえてください。
特に、振袖に袴を合わせる方はしっかりと意識していただきたいです。
- 左右の手でそれぞれ袖を持って、体の前で合わせます。
- 両袖を重ね、片方の手で一緒に持ちます。
- 片方の手で袖2枚を一緒に持ったら、もう片方の手は自由にします。
座るときはそのまま膝の上で袖を押さえます。
座り方
次にきれいな座り方です。
座るときは、まず袖を持つ→袴の裾を浮かせて座ります。
- 上記と同じように片方の手で袖を取ります。
- 片手で袖を持ったまま、空いた方の手を袴の後ろに回します
このように脇明きから袴の中に手を入れていますが、分からなければ上からヒダを持ってください。 - 袴の後ろを持ち上げて浮かせます
- そのまま腰掛けます。
背もたれにもたれないよう、浅めに座ってください。 - 袖を膝の上にそろえて置きます。
これできれいに座れました。
会場でも、乗り物でも基本の座り方は同じです。まず袖を取って裾を浮かす、そして浅めに座るようにしていただければと思います。
比べると、違いが一目瞭然です。
動画でチェック!着崩れしない座り方(2022/02/27追記)
その他
その他の場面でも、とにかく袖を持って、裾を浮かせましょう。
- ドアの開閉
取っ手に袖を掛けないよう、片手で押さえます。 - 階段の昇降
裾を軽く持ち上げるだけで大丈夫です。 - 玄関での出入り
まず袖を取り、その手で裾を一緒に持ちます。
お手洗いでは
お手洗いでもあわてる必要はありません。
まず袖を持ち、裾を上げます。裾をたくさん上げなければいけないので少し大変ですが、基本は同じです。
- まずは袖を持ちます。
両袖のたもとを帯の中に挟みこむか、クリップで留めます。 - 袴の裾を持ち上げます。
床に付いてしまいそうなときは、袴もクリップで帯に留めましょう。
後ろは帯を包み込むくらい上にあげてしまいます。 - 着物、襦袢の裾を順番に上げる。
それぞれ左右に重なっていますので、上から順々にめくってください。 - 全部めくったら、片手を後ろに回して思いっきり持ち上げます。
- 直すときは襦袢、着物を順番に戻して、袴の裾をきれいに下ろします。
手を洗う時まで袖は留めておいてもいいかと思います。
洗面台や便座に袖や裾を引っ掛けないよう注意してください。
手洗いが済んだら、着くずれていないか確認してください。
紐のゆるみがないか、裾が上がったままになっていないか、後ろも鏡でチェックです。
いかがでしょうか?
とにかく「袖を持つ」「裾を上げる」、座る際は「帯をつぶさない」。この3点に注意して美しく振る舞っていただければと思います。
用意すると安心☆おすすめ小物
当日、持っておくと便利なものをご紹介します。
美しい袴姿のまま、より美しく快適に過ごしていただければと思います。
着付けクリップ
お手洗いの方法で使用しましたが、着物クリップが1、2個あると安心です。
着付けの際に使ったクリップを、そのままバッグに入れておくと良いかと思います。
ご自分用をお持ちでない方は、洗濯バサミでも代用できます。
ただし、使用後に外すのを忘れないようご注意ください。
大き目のハンカチ、手ぬぐい
ハンカチや手ぬぐいもあると便利です。
手を洗う前に、また飲食の際に、衿元や帯にはさんで前掛けがわりにすると汚れ防止になります。
手ぬぐい色々
サブバッグ、風呂敷
ご卒業式の後は、意外と手荷物が増えますよね。
サブバッグとして風呂敷もおすすめです。使用しない場合は小さく畳んでおけるので便利ですよ。
サブバッグとしても
おすすめバッグ
こうした小物類を持ち歩く際には、袴巾着がおすすめです。
古典的な着物に合う2色巾着もあれば、とってもかわいいレース巾着もあります。
ぴったりの巾着をお探しくださいね。
雨の日に
卒業式の日がお天気とは限りません。雨や雪が降る可能性もじゅうぶんあります。
念のため、雨用小物もチェックしておくとあわてずに済みますよ。
カバー、つまがけ
草履のつま先を覆って、足袋が濡れてしまうのを防ぎます。
サイズが形状もいろいろありますので、草履を合わせる方はぜひご確認ください。
傘
傘はお手持ちの物で大丈夫ですが、きもの町にはかわいく便利な雨傘、日傘がそろっています。
和装にも合うかわいい傘をお探しの方はぜひ!
撥水加工風呂敷
雨や雪の日には、撥水加工の風呂敷がおすすめです。
大事なお荷物を水濡れから守ってくれます。
卒業式には袴姿で♪素敵な思い出作り
今回は、きれいな仕草や持っておくと良い小物類をご紹介しました。
これで準備や予行練習は完璧です!
あとはご卒業式の前日によく寝て、当日はちゃんとご飯を食べましょう!
どんな準備より何よりこれが1番大切です。
準備万端、体調万全で佳き日をお迎えください!
卒業式にはどうぞ素敵な袴姿で♪
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。
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