はじめて着物:京袋帯・名古屋帯で銀座結び(角出し/つのだし)の結び方【動画解説付き】

カジュアル・普段着

粋でおしゃれな憧れの銀座結びをマスターしよう

羽織ものが不要になる春~秋は、帯結びが気になる季節。
名古屋帯の変わり結びの代表といえば銀座結び
ぜひ結んでみたい帯結びですが、案外しっかりと習う機会がないものです。
今回は、そんな銀座結びの結び方をご紹介します!
お太鼓結びとの違いや、きれいな形を作るポイントなど詳しくご説明。ご参考にしていただければと思います!

きもの町の京袋帯についてはこちら

銀座結びのおすすめポイント

  • お太鼓結び以外のお洒落な結び方をしたい
  • ポイント柄(お太鼓柄)の帯でもできる変わり結びをしたい
  • 帯枕を使わない結び方をしたい

ふっくらとしたお太鼓の左右から羽根がのぞく銀座結びは、四角いお太鼓結びとは違った魅力があります。粋な雰囲気が普段のお洒落にはぴったりです。
お太鼓部分がメインとなる結び方ですので、お太鼓部分のみ柄がある帯も、柄行をそのまま活かすことができます。
厚みのある帯枕を使わないので、比較的楽な結び方でもあります。

銀座結び?角出し?

この形の帯結びが「角出し(つのだし)」と呼ばれている場合があります。
角出しは、江戸時代に結ばれていた古い帯結びで、丸帯や昼夜帯などを使い「引き抜き」という結び方をします。長さが合っていれば帯揚げ帯締めも不要です。銀座結びは、後年、名古屋帯で角出しの形に結ぶために考案された結び方と言われています。
ただ、この形であれば名古屋帯でも角出しと呼称された本もあり、名称の使い分けは曖昧なようです。
ここでは、京袋帯(名古屋帯)を使用し引き抜きではない結び方をしますので、一般的な「銀座結び」で統一します。

余談ですが、きもの町の京袋帯であれば、引き抜きで結ぶ本角出しも結べます。
表裏のある昼夜帯と似た作りですし、て先を綴じていない同じ幅の帯だからです。ただし、お太鼓柄ではなくランダムな柄付けのものに限ります。引っ掛けや引き抜きの角出しなど、江戸時代風の結び方が好きな方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

京袋帯(名古屋帯)の銀座結びをマスター!(2024.12.03更新)

銀座結びの結び方(後ろ結び・お太鼓どめ使用)

さっそく銀座結びの結び方をご説明します。
体に巻いて結ぶまではお太鼓結びと同じです。この部分は、前結びか後ろ結びか、ねじる派、紐を使う派、道具を使う派など人によって違いますが、今回は後ろ結びでお太鼓止めを使用する方法でご紹介します。
そこからの手順はお太鼓結びとは少し違いますが、難しくはありません。形はふっくらと立体的に仕上げるのがポイントです。

  • 京袋帯(名古屋帯) 
  • 帯揚げ 
  • 帯締め 
  • 仮紐 2本
    1本は帯枕代わりに使用し、1本は途中で外します。
  • お太鼓どめ(ねじる・仮紐を使う派の方は不要)

事前に、仮紐1本を帯揚げで包んで細く畳んでおきます。これが帯枕代わりになります。

  1. 2周巻くところまではお太鼓結びと同じです。
    まず半分に折って腕の長さ分を測ります。ここがてになります。
  2. 測った位置から先を体に巻きます。
  3. 胴に1周巻きます。
  4. 片手でまとめて持ち、て(短い方)を折り上げ、たれを上に重ねます。


  5. ての折り返し部分に指がかかった状態ですので、そのまま引き締めます。
    下もしっかりと引き締めます。

  6. もう1周巻きます。
  7. 計2周巻いたら、ての根元を持ってしっかりと引き締めます。
  8. てを下ろし、帯の下線の位置でお太鼓どめで留めます。
    胴に巻いた帯2枚と下ろしたての3枚がお太鼓どめで留まっている状態です。
  9. たれ(長い方)を広げます。
    ここまではお太鼓結びと同じです。お太鼓どめ派ではない方も、結ぶ、ねじる、仮紐で留める等それぞれの方法で結んでください。
  10. たれは下げておいたまま、先にてを持ちます。
  11. てを肩幅くらいの長さで横に折りたたみます。これが羽根の部分になります。
  12. 畳んだては仮紐で固定します。

  13. 次にたれを前に持ってきて広げます。
  14. 帯山の位置を決め、帯揚げで包んだ仮紐を掛けます。
  15. 帯揚げを掛けたら、後ろ手に持ちます。
  16. 帯山を結び目の上に乗せます。
  17. 前で仮紐をしっかりと結び、結び目は帯の中に入れ込みます。

  18. 帯揚げは邪魔にならないよう仮結びしておきます。
  19. 羽根の仮紐は外します。
  20. お太鼓の下線の位置を決めます。
    通常のお太鼓結びより低めにするとバランスよく仕上がります。
    目安としてはおはしょり線(通常のお太鼓の下線)より手1つ分下くらいです。

  21. 下線の位置が決まったら、たれの裏側に帯締めを当て、折り上げます。

  22. 下線の折り目を持って、余分をお太鼓の中に折り上げます。
  23. たれ先の長さを決めます。
    たれ先も通常のお太鼓結びより長めの手巾1つ分くらいです。

  24. 帯締めを持ってお太鼓の下線を引き上げます。

  25. 体の横で、帯締めが胴に巻いた帯の真ん中にくるよう引き上げます。
  26. 帯締めを結びます。

  27. 帯揚げをきれいに結び直します。

  28. 形を整え、完成です。
    帯山はぴったりとまっすぐ、下はふっくらと下ぶくれにすると粋な雰囲気になります。

1番簡単!?スタッフの銀座結びの結び方(前結び版)

銀座結びは前結びが可能です。
お太鼓結びは枕の厚みがあるため、前で結んで回すのは難しいのですが、帯枕を使わない銀座結びは回しやすいので前結びでも結べます。
前結び派のスタッフK池の方法をご紹介します。面倒くさがりなので、仮紐もお太鼓止めも使わず、ねじって止めるだけの結び方です。「これが一番簡単で、きれいに仕上がると思います」と本人は言っています。(半幅帯好きの前結び派スタッフK池の主観です)
後ろ結びがどうしてもできない、途中で仮紐だらけになるのが嫌、とにかく手早く結びたい、そんな方はぜひこちらの方法で結んでみてください。
動画からの切り出しなので、少し見づらい部分があるかもしれませんが、ご参考に。

必要なもの

  • 京袋帯
  • 帯揚げ
  • 帯締め
  1. 京袋帯を半分に折って腕の長さ分を測ります。
    ここがてになります。


  2. 測った位置を胴に当てます。ては肩に預けます。

  3. この時、折った帯の輪が自分の方、口が外の方を向いているといいです。

  4. 胴部分を折り返して巻き始めます。

  5. 自分が回りながら巻くと巻きやすいです。
    後ろに巻いたら肘でキャッチし、持ち変えて引き締めます。



  6. 1周巻いたら、ての折り返し部分に指を入れて引き締めます。
    上下ともに引き締めます。


  7. 2周巻きました。

  8. てを下におろします。

  9. たれを上に持ち上げます。

  10. てを横にし、たれと交差させます。


  11. 交点がゆるまないようにしっかり引き締めます。

  12. て先は体の横~後ろへ持って行き、胴に巻いた帯に挟み込みます。
    これで手を放しても大丈夫です。


  13. たれをきれいに広げます。


  14. 預けておいたてを外し、折りたたんで羽根にします。


  15. 折りたたんだ羽根を帯締めで固定します。これは後で外すので仮結びでOKです。


  16. たれを持って、お太鼓の山を決めます。
    山の内側に畳んだ帯揚げを掛けます。

  17. 山を帯の上線にのせます。帯揚げは後ろで仮結びします。


  18. 帯揚げの結ぶ位置は、胴帯の上に乗るようにしてください。
    後で回すときに、帯と一緒に回しやすくするためです。


  19. 羽根を固定していた帯締めを外します。

  20. お太鼓の下線の位置を決めます。おはしょり線より手幅1つ分下です。

  21. 決めたら、たれの内側に紐を掛け軽く折り上げます。


  22. 折り目の真ん中を持ち、残りのたれをたくし上げます。
    この時、軽くかがんで膝の上で折り上げるとやりやすいです。


  23. たれ先の長さを調整します。手1つ分くらいの長さです。

  24. たれを引き上げます。両端を引き上げ、曲線的にすると仕上がりが美しいです。


  25. 帯締めが下方から体の横の位置で胴帯の真ん中にかかるよう引き上げます。

  26. 帯締めを後ろで結びます。形を整えます。

  27. 右回りに回します。


  28. 回しました。

  29. 後ろ手で位置を確認します。

  30. 帯揚げ、帯締めをきれいに結び直します。


  31. 完成です。

慣れている方法のせいか、最も仕上がりが自然できれいです(笑)。
前で帯結びの形を見ながら結べるため、後ろで結ぶのが苦手な方におすすめです。

銀座結びをきれいに形作るポイント

ふくらみのある立体的な形が特徴の銀座結び。
人それぞれお好みがあるかと思いますが、スタッフは曲線的に仕上げるのが好みです。
曲線を出すコツをご紹介しますので、ぜひマスターしていただければと思います!

◆きれいな曲線を出す方法

銀座結びの結び方手順24~25番、帯締めを結ぶ際のたれの持ち上げ方がポイントです。

たれの長さを決めました。
この時、帯の両端を意識してください。

両端だけを引き上げます。

こうすれば、下線の両端だけが上がり、ふんわりとした形になります。

最後にたれの折り込み部分を倒し、ふくらみの底辺にすると、立体感が保たれます。

逆に、帯の下線をまっすぐ持ち上げてしまうと、四角い仕上がりになってしまいます。
たれの長さを決め…

まっすぐ上に!

こうすると、カッキリとした形になります。
直線的な形が好みであればこれで構いません。根拠はありませんが、直線だと関東風の雰囲気になる気がします。
曲線的なふっくら感がお好みの方は、カキッと線で折り上げずに、ジリッと端だけを引き上げるイメージで帯締めを結んでくださいね。

お太鼓結びとは違った魅力の銀座結び。
このようなポイントに気を付けて、ふんわり優しい雰囲気に仕上げていただければと思います。

◆こだわりの専用帯枕や仮紐

ちなみに、帯山は腰紐を使ってスッキリとさせますが、帯の材質、ご体型とのバランスや好みにより帯枕を使った方がきれいな場合があります。
そんなときは、このような薄く、軽めの帯枕がおすすめです!

また、今回使用した仮紐類は、スタッフが使いやすいよう作り変えた腰紐です。1周巻いて結ぶのにちょうど良い長さとし、かわいいワンポイントを付けています。
詳しいブログはこちら↓

せっかくの粋な銀座結び。よりかっこよく、結びやすく仕上げたい方は、道具にもこだわってみてください。

お太鼓結びと銀座結びの違い

お太鼓結びと銀座結び、どう違うのか分からない。結び方を覚えたつもりでも、すぐに分からなくなる。そういう方が多くいらっしゃいます。
お太鼓結びとの違いをご説明します。

手順の違い

手順としては、巻いて結ぶまでは一緒です。そこから成形する順番が違います。
お太鼓結びはたれを先にお太鼓にします。
銀座結びはてを先に羽根にして結んでいきます。

お太鼓結びの結び方

まず簡単にお太鼓結びを見てみましょう

  1. 胴に2周巻いて、結ぶ、ねじる、留めるなどお好みの方法で結びます。
    ては横に預けておき、たれを下ろしてきれいに広げます。ここまでは共通です。

  2. お太鼓の場合、次に帯山の位置を決め、山の裏側に帯揚げをかけた帯枕を当てます。
  3. お太鼓の下線の位置を決めます。帯の下線~おはしょりの線くらいが目安です。
    位置を決めたら、たれの裏側に仮紐を当て、折り上げます。

  4. 余分をお太鼓の中に折り上げ、たれの長さを決めます。
  5. 横に預けておいたてを外します。
  6. てをお太鼓の中に通します。
    通す位置は、お太鼓のすぐ内側です。


  7. 通したら、余分は畳んでしまいます。
    てがお太鼓の幅から指1本分出るくらいに折りたたみます。

  8. ての上に帯締めを通し、しっかりと前で結びます。
    結んだら、お太鼓の下線の仮紐は外します。

  9. 形を整え、完成です!

お太鼓結びは、たれを先に折りたたみ、次にてを横に通します。最後に帯締めでまとめて固定されている状態です。

銀座結びの手順

次に銀座結びをおさらいします。
2周巻いて留めるところまでは一緒です。

  1. たれは下げておいたまま、先にてを持ちます。
  2. てを横に折りたたみます。これが羽根の部分になります。
  3. 畳んだては仮紐で固定します。
    次にたれを広げます。
  4. 帯山の位置を決め、帯揚げで包んだ仮紐を掛けます。
  5. 帯山を結び目の上に乗せ、仮紐をしっかりと結んで固定します。
    羽根を押さえた仮紐は外します。
  6. お太鼓の下線の位置を決めます。お太鼓結びより長めです。

  7. たれ先の長さを決めます。ここもお太鼓結びより長めです。
  8. 帯締めを持ってお太鼓の下線を引き上げ、前でしっかりと結びます。
  9. 形を整え、完成です。

以上のように、銀座結びはてを先に畳んで羽根にします。たれをお太鼓にするところは、通常のお太鼓結びと変わりません。

お太鼓部分を支える帯締めは、下の位置から、体の横で帯の真ん中辺りに来るよう引き上げて結びます。そうするとお太鼓が三角形にたわんで、ふんわりとした立体感が生まれます。

構造の違い

構造の違いとしてはこんな感じです。てを通す部分(てとたれの位置関係)と、最後に帯締めで留める部分が違います。
お太鼓結びは折りたたんだたれをてでまとめて、最後にすべて帯締めで留められています。
銀座結びはたれの間にてが乗っている状態で、帯締めは折りたたんだたれのみを止めています。

お太鼓結び
銀座結び

仕上がりの形の違い

これらの違いによって、仕上がりの形も異なります。
お太鼓結びは、時代によって流行の形の変化がありますが、基本的に帯枕を使うことで上の位置に厚みを出し、四角くスッキリと仕上げます。特に現代はシャープにキリッと仕上げる傾向にあります。
銀座結びは、逆に下にふくらみを持たせ、羽根のある立体的な形になっています。

スタッフのお太鼓結び
スタッフの銀座結び

動画でレッスン☆銀座結びの結び方

動画もご用意中です。

先行して、2021年9月25日の『着物掘り出し市』のインスタライブで銀座結びレッスンをいたしました!
ライブ後にIGTVにもアップしておりますので、是非チェックしてみてくださいね☆

また、掘り出し市ご来場特典として、帯結びの方法を簡単にまとめたペーパーを配布しております。お料理のレシピカードをイメージしたかわいいデザイン。
vol.9は、なんとお太鼓結びと銀座結びの違いが一覧となっています。今回の記事の縮小版のような内容です。
ご来店の際は、ぜひお持ち帰りいただければと思います!!

銀座結びのアレンジ

構造を理解し、基本の結び方に慣れたら、アレンジも自由自在です。
京袋帯であれば、て先を広げることができますのでアレンジのバリエーションが広がります。

裏面を見せたアレンジ

あえて裏地の色を見せたアレンジです。
きもの町の京袋帯は、赤やターコイズブルーなど裏の色もきれいな帯が多いので、ぜひおしゃれポイントとして見せていただければと思います。

ヒダ寄せアレンジ

てにもたれにもヒダを寄せたアレンジです。
てを広げて屏風だたみにし、ボリュームたっぷりの羽根を作りました。たれも帯山に片ひだを取って固定。
片羽根の粋なアレンジですが、結び方としては銀座結びと同じです。

ネコミミ結び

大人気のネコミミ結びも、構造としては銀座結びの変形と言えます。
てで羽根を作るか耳を作るかの違いです。ふっくらとした顔の作り方など、銀座結びのポイントと同じですので、一緒に覚えてみてはいかがでしょう。

きもの町の京袋帯・名古屋帯で憧れの銀座結び♪

毎年新作がリリースされるきもの町のオリジナルの京袋帯。
着物好きさんも満足のデザインはもちろん、織り特有の立体感、華やかさと素材感が魅力です。
銀座結びの場合、お太鼓結びよりお太鼓部分もたれ先も長めにとります。きもの町の京袋帯は、全長約3m80cmと十分な長さがありますので、普通体型~ふくよかめの方にも銀座結びが楽しんでいただけます。

長さが十分あれば、お太鼓柄(ポイント柄)の帯でも結べます。

ご心配な場合は、連続柄、上下左右のない柄など柄出しに迷わないデザインをお選びください。

京袋帯だからこそできる自由自在なアレンジ。ぜひ、お気に入りの帯で、素敵な帯結びをお楽しみください!

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