※こちらは、過去記事『はじめて着物:名古屋帯の一種・京袋帯って何の帯?どんな結び方があるの?』の再掲載となります。
京袋帯(きょうふくろおび)とは
きもの町で毎年新作をリリースしている「京袋帯(きょうふくろおび)」。
京袋帯とはどんなものなのか、あまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
また「普通の名古屋帯は結べるけど、京袋帯はどうするの?」「京袋帯で調べても着付け方が分からない!」という方もいらっしゃるかと思います。
今回は、京袋帯について詳しくご紹介します!
京袋帯は名古屋帯の一種!まず名古屋帯の種類を理解しよう
簡潔に言いますと、京袋帯とは種類としては名古屋帯の仲間です。
京袋帯の特徴をご理解いただくために、まずはいろいろな名古屋帯をご紹介します。
名古屋帯とは、一重のお太鼓結びができるカジュアル向けの帯ですが、仕立て方や幅などに違いがあります。
仕立て方(形状)の違い
名古屋仕立て
お太鼓以外の部分を半幅に折って縫い合わせてある仕立て方。一般的によく見られます。
巻きやすく、お太鼓結びをしやすい形ですが、胴部分の幅を変えることはできません。
松葉仕立て
て先だけ半分に折って縫い合わせてある仕立て方です。裏地、帯芯のいらない八寸帯に多く見られます。
半分に折りやすく、また徐々に広げることができますので、胴の部分の幅を調節することもできます。
開き仕立て(額縁仕立て、鏡仕立て)
て先を折らず、開いた状態で帯芯を綴じた仕立て方です。
広げた状態だと帯芯が見えているので、一見、未完成品に見えますが、締めると分かりません。
裏地がない分軽く、胴に巻く部分を好みの幅にできます。
帯の名称と、それがどういったものを指すのかは、地域やお店により異なる場合があります。
ここでは一例としてご理解いただければと思います。
京袋帯とは開き仕立て/裏地がある名古屋帯
京袋帯はこのようになっています。
形状としては開き仕立てと同じで、て先が折られていません。そして、全面に裏地がついています。
端から端まで同じ幅で、形状は袋帯と同じです。ただし、二重太鼓ができない長さとなっています。
京袋帯という名称以外にも、袋名古屋帯といった異なった名称があります。
(ただ「袋名古屋」は八寸帯などのお太鼓部分を引返して二重にした仕立てのことをいう場合もあり、とてもややこしいです)
合わせることのできる着物の格は、基本的に、名古屋帯と同じくカジュアルからセミフォーマルまでです。
柄付けは、全通柄もありますが、前とお太鼓の部分にポイントを置いたお太鼓柄もあります。
まとめると、京袋帯とは、帯のジャンル(格)としては名古屋帯ですが、仕立て方が袋帯と同様の帯です。「一重太鼓用袋帯」、「名古屋帯と同格の袋帯」と言えるかと思います。
なお、なぜ「京」袋帯というのかは分かりませんでした……
京袋帯のメリット、デメリット
◎メリット
- 胴を縫い合わせてある帯と違い、胴に巻く部分の幅を好みの幅にできる。
- て先を広げた変わり結びができる
- 何といってもたたみやすい!名古屋仕立ての入り組んだたたみ方をしなくていい。
▼デメリット
- 全面に裏地が付く分、重さや固さがある場合も。(材質や織り方によります)
- 胴の部分をちょうど良い幅に折って巻くのは慣れが必要。
きもの町オリジナルの京袋帯の特徴
毎年新作がリリースされるきもの町オリジナルの京袋帯。
素材は主にポリエステルです。
「帯をしっかりとした素材感のものにしたい」と考えている着物好きさんにもご満足いただけるような、織り特有の立体感、華やかさと素材感が魅力です。
柄行もいろいろなものがあります。ポイント柄(お太鼓柄)と言って、お太鼓結びをしたときに見える部分に柄のポイントを置いたデザインもありますし、総柄(全通柄)のすべて同じ連続模様のデザインもあります。
裏地は主に同系色ですが、黒猫の帯や蝶の帯などは裏面もハッと目を引くきれいな色が使われています。
※帯端の処理について※
きもの町オリジナル帯は、端の一辺だけ熱圧着で処理した上で、内側に折り込んでいます。
簡単に説明しますと、縫うのではなく、繊維を熱で溶かして固めてある状態です。
固まった部分はやや脆くなっています。強く開くと圧着部分が剥がれてしまう場合がありますのでご注意ください。
帯端の始末のしかたは色々ですが、合成繊維だからできる手法で、生産コストを下げています。
少しでもお求めやすくするための工夫としてご理解ください☆
*すでにきもの町の京袋帯をお持ちの方へ*
これを読んだことで、むしろ開いてみたくなったかもしれません。ですが、そっと確認する程度にとどめてくださいね。なお、帯端が開いてしまってもご使用には問題ありません。
京袋帯の巻き方・結び方
きもの福袋のうち、初心者さん向けフルセットをお買い上げの方には、着付けDVDもお付けしています。DVDには名古屋帯の結び方はありますが、京袋帯バージョンがありません。
今回は、DVDにはない分を補足としてご紹介したいと思います、
後ろ結び派?前結び派?帯の巻き方・結び方は十人十色
ご紹介するといっても、結び方は本や教室、人によって異なります。
まず前結び派か、後ろ結び派か。巻く方向も時計回りに巻くか、反時計回りか。ひと結びするときは結ぶ派か、ねじる派か、折り畳み留める派か。帯枕と帯揚げはまとめて派か、別々派か…………
大きく分けて、以下の違いがあります。
- 前結びか、後ろ結びか。
- 巻く方向は時計回りか、半時計回りか
- 2周巻いた後、結ぶ?ねじる?クリップなど道具で留める?
1.前結び/後ろ結び?
一般的なのは後ろ結びかと思います。初めから後ろ手で結びとめて、背中で帯結びを作っていく方法です。きれいに結べるまでは慣れが必要です。
最近は、前結びで行う先生もいらっしゃいます。半幅帯などと同様に、前で結んで、帯結びが出来上がったら最後に背中に回します。前で帯の形を見ながら結べるので安心ですし、肩や腕を傷めてずっと後ろ手で結ぶのはつらいという方にもおすすめです。ただし、回すときに崩れやすく、コツが必要です。
折衷派というのは、途中まで前結びで結び留めるまで行い、帯結びを作るところからは後ろに回す方法です。きもの町スタッフK池がそうです。前結びの方が半幅帯と同じ流れでできるのでしっかり締めやすい、でもお太鼓結びは最後に回すと崩れやすいということで、締めるところまで前、お太鼓を成型するところからは後ろで行います。
2.巻く方向は時計回り?反時計回り?
関東巻きと関西巻きといった言葉を聞いたことがありますでしょうか?
関東腹、関東手などともいいますが、これは帯を巻く方向の違いです。自分を中心に、反時計回り(右から左)に巻くのが関東巻き、時計回り(左から右)に巻くのが関西巻きといわれています。逆という説明もあり、ややこしいので今では使われない言葉です。
言葉はなくなりましたが、巻く方向の違いは残っています。習った教室のやり方や、利き手などにより時計回りか反時計回りか違いがありますが、どちらが正しいといったことはありません。
巻く方向で胴部分の柄が変わる場合も
帯によっては、巻く方向が違うと出る柄が異なる場合があります。
『間道 龍と唐花』の帯は画像の表側に出ている帯端から巻き始めた場合、時計回りだと龍が、反時計回りだと花がでます。もう片方の帯端から巻けば、出る柄は反対になります。
自分の巻き方と出したい柄を確認するようにしましょう。
お太鼓柄の場合、巻き始めを変えることはできません。そのため、巻く方向によって出せる柄が決まってしまうことも。
例えば「アイボリーぶち猫と蝶」はモンシロチョウの数が違います。蝶の数は時計回りだと2、反時計回りだと3です。
出したい方に合わせて巻けるよう、どちら巻きでもできるようになっておくとお得です。
3.二周巻いた後の結び留める方法は?
帯は胴に2周巻きますが、帯結びに入る前に巻いた帯を留める方法にも色々あります。
まず結ぶ方法です。てとたれを絡げてひと結びします。
帯を後ろで結びあげるのは大変ですし、帯を傷めやすいため、現在ではまず見かけることはありません。サザエさんなど昔の漫画では、フネさんが背中で帯をギュッと結び上げている描写が見られますよ。
現在は、てとたれを交差させてねじるだけが多いようです。その場合も、ぐるっとねじる方もいますし、折り上げて留める方もいます。折る方法は帯を傷めにくく、背中が平らになる点が好まれているようです。
2周巻いて、お太鼓どめやクリップで留めるだけという方法もあります。結んだりねじったりする余裕もないくらい短い帯におすすめです。
その他、改良枕など特殊な道具であらかじめ形を固定して背中に着ける方法などがあります。
4.どの結び方にも共通のポイント
事前にお太鼓にする方を確認
巻き始める時に、てにする方(胴に巻く方)を半分に折るだけで、後は名古屋帯と同じです。
しかし、折る前にまずは帯の柄行きを確認しましょう。
ポイント柄(お太鼓柄)や、上下のある柄の場合、お太鼓にしたい方の柄の出方を見ます。
それから、その反対側をて先として半分に折ります。
お太鼓部分に縦の折り筋を付けないように、いきなり半分にはしないでくださいね。
京袋帯は胴に巻く部分を半分に折る
初めにご説明した通り、京袋帯は胴に巻く部分もお太鼓結びにする部分もすべて同じ幅です。
て(始めに取っておく部分)~胴に2周巻く分は、約半分に折る必要があります。ここも方法が分かれるところで、巻きながら折る人もいますし、事前にすべて折っておく人もいます。初心者さんは始めにざっと折っておくと結びやすいかと思います。
胴部分の適切な帯幅
半分に折るとご説明しましたが、ぴったり半分である必要はありません。ご体型に合わせてバランスのいい幅で折っていただいてOKです。
現在、胴に巻く部分の一般的な帯幅は4寸(約15cm)。きもの町の京袋帯も、ぴったり半分に折るとそのくらいの幅になります。
しかし、バランスが良く見える帯幅は、身長の10分の1ほどと言われています。身長に対して余りに狭いと、とてもカジュアルな雰囲気に見えたり、ふくよかさんの場合は体の横幅が強調されて見えたりします。また、帯の幅や巻く位置は時代によって異なるため、幅広の帯を胸高に締めた大正ロマン風にしたいといった着こなしのイメージに合わせることも大切です。
胴部分の幅は、ほんの1~2cmでもかなり違って見えますので、格好良く着こなしたい方は折る幅を調整するようにしましょう。
身長165cmのスタッフの場合、1cm強ほど出して帯幅16cmちょっとにして巻いています。
このようにご体型や好みに合わせて調整が利くところが京袋帯の良いところです。
胴に巻く部分は輪が下
半分に折った部分を胴に巻きますが、その際、折り目の向きには決まりがあります。
輪になっている部分を下、空いている部分が上になるよう巻きます。て先が綴じてある名古屋仕立ての帯も、輪と口の縫い目がありますので、口を上にします。
一部、舞踊の衣装の場合は輪を上、口を下に巻くことがあります(扇子が挿しやすいようにだそうです)。そういった例外を除けば、輪を下にするのが一般的です。
帯の巻き方まとめ
これ以外にも、巻き始めはてを肩に掛けるか、クリップで帯板に留めるか、胴帯と平行に巻いて後で引き出すか。お太鼓結びの場合、帯揚げと帯枕はまとめて掛けるか別々かなど、細かい部分まで含めると帯の巻き方・結び方は実に多種多様です。
ちなみにきもの福袋セットに入っている着付けDVDは、1.後ろ結びの方法で、2.反時計回りに巻き、3.ねじり、4.帯枕と帯揚げはまとめてかける でした。
結び方の違いは、2021年のインスタライブで京袋帯結びのレッスンをした時の様子が分かりやすいかと思います。Keiの方は前結びで行っていますが、K子は後ろで行っています。
お太鼓結びレッスン
銀座結びレッスン
本当に人それぞれですので、締めたい帯が自分の巻き方と合っているか、きちんと確認するようにしましょう。
京袋帯の結び方:基本のお太鼓結び
いろいろな巻き方があるということを踏まえた上で、基本のお太鼓結びの結び方をご紹介します。
ブログは現在準備中です。アップされ次第、こちらに追記いたします。
京袋帯の結び方アレンジ
裏地を見せるアレンジ
胴部分をかがってある帯と違い、京袋帯なら裏地を返すアレンジも可能。
スタッフコーデで、て先に裏地を出した結び方をしていますが、これは始めに裏が見えるように折り返してから巻いています。
ちらりと見える羽根の色がアクセントになっていて、とってもオシャレ。
どうやっているのか気になっている方のために、折り方をご紹介します。
- 帯端からての長さ分を測ります。(60cmほど)
- その位置で外表に畳みます。
- 畳んだ状態で、帯幅を半分に折ります。
- ての中が四重になっています。
- 4枚重なっているうちの中の2枚を持って引き出します。
- 角を折り目正しく整えながら引き出します。
- 直角に引き出したら、角をクリップで留めておくと巻きやすいです。
これで、ての部分が裏面の状態になりました。 - てを肩に預けて巻き始めます。
- この巻き方で通常の角出し(銀座結び)にすると、裏見せ角出しができます。
分かりやすくいいますと、折り鶴の頭の折り方です。中割りに折って引き出す方法です。
きもの町の京袋帯は、黒猫の帯や蝶の帯など、裏地の色がきれいなものもありますので、普通のお太鼓結びじゃつまらない!という方は、ぜひアレンジを楽しんでくださいね。
その他変わり結びはブログをチェック
きもの町の京袋帯なら、裏地を見せるアレンジ以外にも、たくさんの変わり結びが可能です。
ブログでご紹介しておりますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
銀座結びの結び方(2022.04.20)
きもの町の京袋帯を使用した帯結びの紹介をアップしました。
粋な帯結びの代表・銀座結び、ぜひご覧ください!
ちょうちょ銀座結び
銀座結びができれば、いろいろなアレンジが可能です。
幅の広いて先を活かし、蝶々のようなひらひらリボンアレンジ。
カラス銀座結び
片羽の粋な銀座結び
ネコ好きさんに人気のかわいいネコミミ結び
大人気のネコミミ結び
リボン太鼓結び
お太鼓の上にリボンが乗った、かわいらしく華やかなアレンジ。
後見結び(千鳥)
慣れると自分に合わせて自由自在にアレンジできる京袋帯。
普通のお太鼓結びだけではなく、いろいろな帯結びのオシャレを楽しんでくださいね。
ぜひ楽しくマスターしていただければと思います!!
作り帯加工もあります
どうしても難しければ、お太鼓結びの作り帯加工も可能ですのでご検討ください。