あっという間に桜のシーズンも過ぎ、新年度となりました。この3月の卒業式シーズンに袴姿をご覧になり、「来年の卒業式には私も袴が着たい!」「自分で着付けられたら素敵だなあ」そう思われた方も多いのではないでしょうか。
卒業式シーズンになりますと「袴は自分で着られますか?」「自宅で簡単に着付けできますか?」といったお問い合わせを度々いただきますが、これは非常にお答えに困るご質問です。ご自宅で簡単着られるかどうかは、事前にどれだけ袴について理解し、準備できるかにかかっています!
今回は、袴を着付けるにあたって、まず確認して頂きたいことをご紹介します。
実際の詳しい着付け手順は、次の着付け方本編をご覧ください。
卒業式の袴(はかま)って何?袴スタイルの構造を理解しよう
卒業式を迎える学生の方々に人気の袴(はかま)スタイル。
和服になじみのない方は「袴を着る」というと、着物も袴も一式着用した装いである「袴姿」をイメージするかと思います。実際は、袴姿で着る衣服はトップスとボトムスに分かれており、そのうちボトムスの部分が袴です。
上衣(トップス)に袖の長い二尺袖や振袖、または色無地や訪問着など礼装用の着物を着用し、幅の狭い帯を締めます。その上から下衣(ボトムス)として袴を着用します。足元は草履やブーツなど。
現在の女性の袴姿は、明治から大正にかけて女子教育と衣服改良が進む中で、女学生にふさわしい服装として完成した衣服です。外を歩き、椅子に立ち座りする際に、裾の乱れを気にしなくて良い服装が求められ、男性の袴や、宮中で着用される袴を参考に女子袴が作り出されました。男性の袴との違いとしては、「行灯袴(あんどんばかま)」という股に仕切りのないスカート状の形をしていることが挙げられます。
着物に袴、そして革靴を合わせたスタイルが女学生の間で流行し、教育の場で女性の袴姿はスタンダードなものとなりました。
そんな先進的な女学生の姿にならい、現代では卒業式の衣装として袴スタイルは親しまれています。また、ノスタルジックなかわいらしさと活動のしやすさから、一部の着物好きの方の間では普段のおしゃれ着としても好まれています。
袴の中の構造をご紹介
袴スタイルの内容や歴史は理解した。ではどうやって着ているの?袴はスカートみたいな形だし、普通の着付けができなくても簡単に着られそうな気がするなあ。
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、始めにご説明した通り、袴でも着物を着て帯を締めなくてはいけません!また、袴はスカートのようにスリップオンで身に着けるのではなく、紐で前と後ろを結んで固定して着ます。
袴がどのようになっているのか、簡単にご紹介しますので「これならできそう!」「やっぱり無理そう…」それぞれに判断していただければと思います!
こちらが二尺袖に行灯袴の定番の卒業袴スタイルです。
↓↓
袴の下はこのようになっています!
通常より短く着付けた着物に、半幅帯を結んでいます。
長襦袢、着物は袴の裾から見えないよう、短めに着付けています(膝下~ふくらはぎくらい)。
後ろは、半幅帯を小さめの文庫結びにしています。
袴は前後2パーツに分かれていますので、それぞれ紐で結びます。
まず前紐を後ろに巻き、帯結びに交差させて前に回します。
さらに後ろに巻き帯結びの下でしっかりと蝶結び。
後ろの腰の部分を文庫結びの上に載せ、紐を前で結びます。
前紐も後ろの腰板も文庫結びで支えられている状態です。
なので、この文庫結びがしっかりできているかが、美しい袴スタイルのポイントです。
ポイントまとめ
- 袴スタイルは、着物+帯+袴を着用する
- 通常の着物よりおはしょりを多く取って短めに着付ける
- 帯で袴を支えるため文庫結びをしっかりと結ぶ
⇒つまり基本の着物の着方が分からないと袴も着られません!
帯結びができないといけないし、紐で前後ろを結ばなくてはいけないので、案外大変ということがお分かりいただけたでしょうか。
ここまでで、よく分からなかった方は着付けを依頼されるのが良いかと思います。
どんな風に着ているかは分かった、必要なものや具体的な手順を知ればキチンと着付けられそう!そんな方は、しっかり準備をして袴着付けにチャレンジしてみましょう。
袴を着る前に確認・着付け経験値はどのくらい?
袴を自分で着付けることは可能です。ですが、ちゃんと着付けができるかどうかは、着る方(着付けをされる方)の着付け経験値によるかと思います。
まずは着付けの経験がどのくらいかをご確認いただければと思います。
- 普段着物を着て出かける
⇒ぜひ袴にチャレンジしてみよう
一般的な着付ができる方なら、袴も着付けられるかと思います。
自分で着付ける場合、紐を後ろ手で結ぶなど、すこし大変なところもありますが、難しいことはありません。
- 浴衣は着られる(着せられる)
- 文庫結びもできる
⇒襦袢の着方を覚えてから袴にチャレンジ!
着物の場合、中に長襦袢を着ますので、その手順を覚える必要があります。
ですが基本的な着方は浴衣と変わりませんので、練習すればご自宅でも袴着付けが可能です。
なお、帯は作り帯ではダメですよ。
- 実は浴衣の着付けも難しい……
⇒来年が卒業式ならまだ間に合います!
まずは今年の夏、浴衣から覚えていきましょう。
そして涼しくなったら着物にチャレンジ。当店のオリジナルきもの福袋フルセットなら基本の着付けDVDが付きます。
浴衣、着物と順番に着付け方をマスターすれば、来年の卒業式には袴姿も可能です。
もしくは無理をせず着付けを依頼される方が良いかと思います。
着付けのご依頼は、きもの町姉妹店の夢館をよろしくお願いいたします☆
袴の着付けに必要なもの
袴を自宅で着付けることになりましたら、必要な小物がそろっているかチェックしましょう。
着物・袴など
- 着物(二尺袖)
- 長襦袢(または二部式襦袢)
- 半幅帯
- 袴
- 重ね衿(伊達衿)
- 草履、またはブーツ
これらはご自身の着たいコーディネートによってお選びいただければと思います。
袴のサイズ選びについては下記の記事をご覧くださいませ。↓↓↓
着付け小物
- 腰紐 3~5本
- 伊達締め 2本
- コーリンベルト 1本
- 帯板(浴衣用の薄いもので大丈夫です) 1枚
- 着付けクリップ 大2、小3 計5個
- 他、補正用タオルやパッド
- 足袋、またはソックス 1足
しっかり着付けるために、着付け用品も色々とそろえる必要があります。
着付け小物については、成人式で振袖を着たり、普段に着物や浴衣を着たことがある方は、ある程度お持ちかと思います。
お持ちではない場合、下記のようなセットをメインにそろえると便利です。
足りない分は、こういった単品の小物で補ってください。
ここまですべてそろえたら、あとはやる気だけです!
こんなに必要なものがあるなんて思わなかった!すべて自分でそろえるのは無理!
そんなときは、レンタルもご検討ください。
姉妹店の夢館でしたら、お好きなコーディネートで必要な小物一式レンタルすることも可能です。
次回:袴の着付け方・本編
袴の着付けイメージと、必要な品物が整ったら、いよいよ着付けにチャレンジです。
次回は、着付け方の手順をご紹介いたします。
動画もご用意中ですのでお楽しみに~☆
袴の着付け方はこちらから(2021.12.20追加)
自分で二尺袖・袴を着付けてみよう(2023.02.08)
こちらでご紹介した基本の着付け方の手順で、スタッフが実際に自分で着付けをしてみました。
難しかった点、対策などをご紹介。
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。
コメント