着物や浴衣の下着:半襦袢・二部式襦袢について
着物や浴衣を着るときに必要な下着類。
以前、着物の襦袢や浴衣の下着について簡単にご紹介いたしました。
今回は、カジュアルな普段着物の着付けにおすすめの半襦袢(二部式襦袢)についてご説明いたします。
浴衣を単衣着物として着たい時など、気軽に着物コーデをしたい方におすすめ!
ぜひご一読ください。
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半襦袢・二部式襦袢とは
一般的な和装の下着
着物の下にはどういったものを着るのでしょうか。
半襦袢、二部式襦袢のご紹介の前に、まず一般的な和装下着をご紹介します。
- 和装ブラ、ショーツ
和装ブラは、ご体型により不要な場合もあります。 - 和装肌着
洋服でいうとキャミソールやペチコートの役割です。
汗取りや足さばきを良くし、肌と着物を保護します。
ワンピース式の着物スリップが便利。
上下に分かれたタイプは、上衣は肌襦袢、下は裾よけ、ステテコがあります。 - 長襦袢/半襦袢、うそつき襦袢
洋服の裏地やアンダードレスのような役割で、肌着と着物の間に着用します。
滑りを良くし、表着の痛み防止となります。また隠れたオシャレとしても着用します。
長襦袢はワンピースタイプです
上下に分かれた二部式タイプ - 着物
半襦袢・二部式襦袢
半襦袢、二部式襦袢は、上記の3番目に着る長襦袢が上下に分かれたものです。
二部式の場合、袖は長襦袢と同様の袖、裾よけ部分も長襦袢生地の物が多いです。
身頃は綿なので汗を気にせず快適に着られます。
半襦袢は二部式襦袢の上衣だけの襦袢で、身頃も綿、袖も綿の筒袖です。
肌襦袢に長襦袢の衿が付いたような形ですので、肌着を省略してもOKです。下衣は裾よけ、ステテコなどお好みで組み合わせ可能。
替え袖、裾よけをつければ、長襦袢を着ているように見えるので「うそつき襦袢」と呼ばれたりもします。
半襦袢・二部式襦袢のメリット
- 上下に分かれているので、着丈の調節がしやすい
ご身長に合わせて裾よけを巻く位置などを変えれば着丈の調整可能です。 - 着くずれがしにくく、着くずれを直しやすい
- 裾をしっかりと引き締めて着つけることができ、衿合わせもキレイに決めやすくなります。
- お手入れが楽
綿やポリエステル素材であればご自宅でお手入れ可能。また、物干し場所も取りません。 - 半襦袢の場合、合わせる着物の袖丈を問わない
着物に合わせて袖を変えたり、カジュアル着であれば筒袖のまま着用することが可能。
お持ちの着物の袖丈がバラバラの方におすすめです。
替え袖、裾よけは、色柄だけではなく、夏用など季節の違いもあります。
夏着物には絽の単衣袖を合わせるなど、着物に合わせて替えましょう。
フォーマルに二部式襦袢を着ても良い?
「礼装に二部式襦袢を着てもいいでしょうか?」といったお問い合わせをいただくことがあります。
基本的に、二部式襦袢はカジュアル用です。ただ、着付けのメリットから、二部式をお好みになる方もいます。
どうしても二部式が良い場合は、以下のような点に注意してお選びいただければ、着用上の問題はないかと思います。
- 裄、袖丈が着物と合っている
- 半衿、袖、裾よけがフォーマル向けの生地
半襦袢・二部式襦袢の着方
半襦袢、二部式襦袢の着方をご説明します。
和装ブラ、ショーツに必要であれば肌着を付けます。先に足袋を履いて、着付け開始です。
- 裾よけを体に巻き、裾線をくるぶし上くらいに合わせます。
裾よけをぴったりと腰~お尻に添わせます。 - 下前(裾よけの右側)を体に重ねます。
この時、紐を斜め上に持ち上げるようにすると後で美しいです。 - 次に上前(左側)を上に重ねます。
この時、裾端をグッと斜め上に引き上げるよう巻くときれいな裾つぼまりになります。 - 紐を後ろで交差し、前で結びます。
これで裾よけが着られました。 - 次に半襦袢を羽織ります。
- 半襦袢の背中心を体の中心に合わせます。
- 背中心を持って下に引き、衣紋を抜きます。
首から衿の間がこぶし1つ分ほど開いているくらいがちょうどです。 - 下前(右)の衿を体に重ねます。
この時、後ろの衣紋の抜きが詰まってしまわないようにしてください。 - 同様に上前(左)の衿を重ねます。
衿の詰め方は喉のくぼみが半分隠れるくらいが目安です。
両衿先がバストトップを包むようにすると安定します。 - 衿を重ねたら、紐を締めます。
衣紋の抜き具合や背中心がずれないよう注意して、シワを左右に寄せます。 - 余分はすべて脇に寄せます。
- 伊達締めで衿元を押さえます。
伊達締めを巻くときは、まず衿元に当て、空気を抜くように下におろすときれいです。 - 伊達締めを結んで出来上がりです。
<良い例>
シワはすべて脇の方に収め、たるみがないよう仕上げます。
裾よけは腰に添い、足元にかけて締まったラインになっています。
全体的に体に添ってスッキリとした形になっています。
<悪い例>
胴の紐を締めた部分にシワが寄ってたるみ、衿合わせも裾の重なりも均等ではありません。
全体的に体から布が浮いてくしゃくしゃです。
この上から着物を着ても、浮いている部分が動くので時間と共に着くずれてしまいます。
長襦袢・半襦袢は着物の土台となるので、美しいシルエットになるよう仕上げましょう。
安定する衣紋の抜き方と直し方
衣紋の抜き方や衿合わせがきれいにならないとお悩みの方は多いと思います。
ご体型や好みの仕上がり、またお使いの着付け道具や習った教室の方法など、それぞれに違ったコツがありますが、ここでは基本的なポイントをご紹介します。
まず胸元の補整をすること。なだらかな鳩胸ですと、衿が自然に体に添うので浮いたり動いたりしにくくなります。
そして、うつむいて着付けをしないこと。つい手元ばかりを見てしまいがちですが、姿勢が悪くなって衿が浮きますし、首元が動くので衿合わせがずれてしまいます。まっすぐ鏡の中を見て、襦袢が体や手に当たる感覚で着付けるようにしてください。
そして、半襦袢の着方のポイントとしては、衣紋抜きだけに頼らず身頃をしっかりと引き締めることです。
半襦袢の着方10番のあたりで、紐を締めたらシワを寄せ、衿元を整え直します。
この時、まず背中心(衣紋抜き)を下に引きます。
ここだけで止めてしまうと、引いた衿が戻ってしまいやすくなります。
背中心を引いたら、次に衿肩明きの下をグッと左右に引き下げてください。
後ろ身頃の脇縫いの線もしっかりと引き、シワをきれいに収めます。
背中心(衣紋抜き)だけを引いた時と比べて、衿のカーブがきれいに体に沿っているのがお判りでしょうか。
身頃全体で衿が固定されているので、衣紋抜きがなくても衿の抜きが安定します。
着ているうちに衿が詰まってきた時も同様に整えます。
着物の裾をめくり、半襦袢の裾(赤丸の部分)をキャッチします。
そして、背中心、左右の衿肩明きから脇縫いの線を順番に引き下げます。
この時グイグイと引っ張るのではなく、着物や帯がずれないようにジワッと力を加えるようにしてください。
気候や着付け方に合わせて賢く選ぼう!
今回は、半襦袢(二部式襦袢)の着方をご説明しました!
この上から浴衣を単衣着物として着れば、気軽に着物風コーデができます。
気軽に涼しく、着くずれ直しも楽々の半襦袢。
着物に合わせて替え袖を決めたり、裾よけとのコーデも楽しめます。
暑がりさんや、着付けやお手入れを少しでも楽にしたい方、オシャレを楽しみたい方は、ぜひ試してみてください。
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。
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