伊勢木綿反物・お仕立て上がり着物大好評販売中
こんにちは、きもの町スタッフK池です。
日増しに秋めいてくるこの時期におすすめの、そして着物好きさんにも人気の伊勢木綿の新柄が販売中です!
お仕立て上がりと反物、両方取り揃えております。
きもの町スタッフが選んだおすすめの色柄ばかり。ぜひ、お気に入りを探してみてくださいね。
今期入荷分のお仕立て上がりは、すべてK池が柄合わせチェック済。
前回のブログで、柄合わせを検討する様子をご紹介しました。今回はその続きをご紹介したいと思います。
こだわりだすと止まらない!伊勢木綿着物の柄合わせについて第2弾!
お仕立て検討中の方は、ぜひご覧ください!
- 使用する用語や考え方はお店や和裁士さんによって異なる場合があります
- 伊勢木綿反物をきもの町フリーサイズに仕立てる際の例です。
- 柄合わせの可否は、反物の柄行、用尺、お仕立て寸法、好みによります。
- 女性、男性ともに基本は同じです。
基本の構成おさらい
前回ご説明した通り、反物から着物を作る場合、生地の配置には一定の方法があります。
できることとできないこと、決めておくべきポイントを押さえておきましょう。
詳しくは以下をチェック☆
柄合わせのポイントを簡単にまとめると、以下のようになります。
- 追っかけかぶっつけか
反物の印象そのままにしたいなら「追っかけ」 - 格子の段
特にこだわりがある場合は指定します。
例:お尻の位置で濃い格子が突き合わせにならないようずらしたい、衿元はすっきり見えるよう揃えたい等 - 衿元の色
顔周りに置きたい色を第一に決めましょう
柄合わせの指定が必要な反物とは
柄合わせを自分で考えるのは、面白そうだけど難しそう。すべて指定するのは大変だし、失敗したら困るなあ。
そんな風に思われた方もいるかもしれません。
ですが、柄合わせの指定が必要かどうかは、反物のデザインによります。
柄合わせでイメージが変わりやすいデザインの特徴を挙げますので、反物選びの際はチェックしてみてください。
- 色柄の割り付けが大きいもの
色数が2~3等分になっている、格子が大きいなど、色柄の配分が大きいものは見え方が偏りやすいので要チェックです。 - 左右非対称な柄
反物の片側が縞、片側が余白が大きいなど、柄のバランスが非対称なものは追っかけ/ぶっつけで印象が変わります。 - 何かポイントになる強い色、柄があるデザイン
目立つ色などがある場合、配置によって全体のバランスやお顔映りに影響します。
逆に、色や柄が細かくて均等なバランスのものは、柄合わせに関わらず印象が変わりにくいと言えます。
柄合わせが心配な方は、お仕立て前によく相談されるか、柄合わせに左右されない反物をお選びになることをおすすめします。
「重ね格子 紺×橙×薄グレー」
それでは、特徴的なデザインの反物の柄合わせを実際に考えてみたいと思います!
紺色に薄いグレーの縦縞、もう一方は淡いオレンジ色に薄グレーに淡い色を重ねた格子。
これはスタッフイケDがとても気に入って入荷した反物です。
紺に対して反対色のオレンジが格好いいデザインですが、あまりオレンジの配分が多すぎても良さを活かせません。
バランスよく配置して、オレンジと紺のコントラストを魅力的に見せたい反物です。
ぶっつけ/追っかけ
背中心を基準に身頃の配置を考えます。
背中心から肩幅までの寸法より外側は隠れてしまいますので、注意が必要です。
この反物の場合、両端合わせて2寸(8cm弱)くらいは縫い代に隠れて見えなくなるものと考えます。
こういう柄でしたら追っかけが間違いありませんが、一応ぶっつけでも見てみます。
薄い方のぶっつけ
背中がほぼ薄い色となります。
濃い方のぶっつけ
こちらは逆にほぼ紺色です。
両サイドの肩にオレンジのラインが出て、個性的になるかと思います。
ぶっつけは好みが分かれそうですので、ここは追っかけに決定です。
ひとまず、右から紺→オレンジ→紺→オレンジの配置にしてみました。
前から見ると、上前(左身頃)の胸元に紺色の線が出る置き方です。
格子の横段
よく見ると、淡いグレーの横段があります。
ただ、紺とオレンジの縦縞の印象が強いので、横段はあまり気にしなくても大丈夫かと思いました。
ということで、今回、横段は特に指定なしです
衿元の濃い/薄い
身頃の配置が決まったので、次は衿と衽です。
衿を濃い色にしたら衽は薄い色、逆に衿を薄い色にしたら衽は濃い色の2択です。
着たときに目立つ、上前(左身頃)の配置を基準に考えます。
衿に濃い色
衿は紺色の方がどんな方にも似合いやすいと思い、濃い方を置いてみました。
そうすると、衽は薄い色になります。上前の胸元(衿・衽側)が紺色なので、衽は薄いオレンジとグレーだと変化が出てよさそうです。
縫い代で隠れる分も考慮
すんなりと良い配置ができたようですが、何となく気になる点があります。
離れて見ると、全体的に薄い色の割合が大きいような……?
この広げた状態ではなく、縫い上がった形になると見え方が変わりそうです。
↓
出来上がり寸法にした場合、縫い代の中に入る部分を折り込んでみました。
すると、脇と衽の両端の紺がほぼ消える~少し見えるかなくらいになってしまいます。
オレンジとグレーが好きな方ならいいのですが、何となくぼやけて見えるのは否めません。
画像とは逆の配置、衿をオレンジ色、衽を紺色も試してみたのですが、イケD「顔色がくすみそう」K池「着た時に前面がすべて紺色になりそう」という理由で没に。
適度な紺の締め色でオレンジを引き立たせる、そんなバランスのいい配置にするため、始めからやり直すことにしました。
やり直し
始めとは逆に、右からオレンジ→紺→オレンジ→紺の配置にしてみました。
前から見ると、上前(左身頃)の胸元にオレンジの線、脇の方に紺色が出る置き方に変更です。
衿元の濃い/薄い
上前の胸元が薄い色なので、衽に濃い色(紺)を使うことに。
そうなると必然的に衿が薄い色となりますが、バチ衿仕立てにした場合、衿として表に見える部分は反物の約1/4です。
この反物の場合、衿は薄い色と指定しても2パターンの候補が考えられます。
グレーに紺のライン/オレンジに少しグレー
どちらが衿になるかで、お顔映りが変わります。
衿にオレンジ
衿にオレンジを置いてみました。
身頃の胸元にオレンジ、衿にもオレンジだとお顔色に合わない方が多そうです。
衿にグレー(少し紺)
次に、衿にグレーの方です。
こちらの方が大人っぽい雰囲気になりますね。イケDや他のスタッフも、これなら着やすいのではという意見でした。
ということで、衿にグレーで決定です!
完成
完成がこちらです!
「追っかけ(上前の背中心側に薄い色)/衿に薄い方(グレー)/横段指定なし」と、細かい部分は細かく、目立たないところはおまかせの指定となっています。
よく見ると、横段はきれいに揃っていますね。
後ろはこんな感じです。
右半分が紺、左半分がグレーとオレンジで、反物とそんなに変わりのない色の配分となりました。
硬派な紺グレーの縦縞、上前のオレンジが挿し色として映える、なかなか良い仕立て上がりになったのではないでしょうか。
この反物推しのイケDも満足の、格好よい着物となりました。
☆使用した反物・着物はコチラから
※完売分も再入荷検討中です。
しばらくお待ちください☆
伊勢木綿のお誂えは京都きもの町で!
今回は、伊勢木綿反物お仕立ての、柄合わせについてご説明しました!
ご紹介した柄合わせは「反物のイメージ通りかどうか」「お仕立て上がり販売分として、多くの方に似合いそうか」を基準にしています。
柄合わせの良し悪しはお好み次第ですので、他の合わせ方が好きだなと思った方は、ぜひそのようにご指定ください。
もしも、指定の仕方が分からない場合は、お仕立て前にご相談いただければと思います。
自分だけのデザインが作れるところがお誂えの面白いところ。
きもの町スタッフが、理想の着物作りのお手伝いをさせていただきます!
※なお、未購入の個別の反物について今回のブログ写真のように実際に配置してお見せするといったご要望にはお答えできかねます。
最後にもう一度ポイントをおさらいしますので、お仕立てをご検討中の方はしっかりとご確認ください。
柄合わせによって印象が変わりやすい反物の特徴
- 色柄の割り付けが大きいもの
色の出方が偏りやすいので要チェックです。 - 左右非対称な柄
柄のバランスが非対称なものは追っかけ/ぶっつけで印象が変わります。 - 何かポイントになる強い色、柄があるデザイン
配置によって全体のバランスやお顔映りに影響します。
柄合わせのポイント
- 追っかけかぶっつけか
反物の印象そのままにしたいなら「追っかけ」 - 格子の段
特にこだわりがある場合は指定します。
例:お尻の位置で濃い格子が突き合わせにならないようずらしたい、衿元はすっきり見えるよう揃えたい等 - 衿元の色
顔周りに置きたい色を第一に決めましょう
※以下の条件によって、理想通りの柄の出し方ができない場合があります。
- 反物の用尺
- 出来上がり寸法
- ご体型・着付け方
※お仕立てには約40日頂戴いたします。ご着用日までのお日にちに余裕をもってお申込みくださいませ。
加工業者の休業期間(年末年始・GWなど)を挟む場合は、通常納期よりも約10日〜2週間遅れでの仕上がりとなります。
きもの町受注担当。九州出身、沖縄を経由し、花と着物と競馬場の京都生活を満喫中。ブログでは商品情報やコーディネート、着付けの豆知識を発信しています。
コメント